遠藤航・南野拓実・浅野拓磨ら現日本代表が涙をのんだリオ五輪「敗退要因」からパリ五輪世代のキーマンが見えた <パリの主役は君たちだ!>
7、8月に行われるパリ五輪への出場が決まれば、半世紀以上となる、56年ぶりのメダル獲得がかかりますが、東京で大粒の涙を逃した久保建英選手や、SAMURAI BLUEの守護神・鈴木彩艶選手らの参戦が期待され、歴代最強との期待が高まっています。
そのパリ五輪世代が22日に対戦するのが、アフリカのマリ。実は、U-23日本代表の大岩剛監督が就任して以来、五輪世代が対戦したチームは、アジア勢17試合、ヨーロッパ勢9試合、北中米勢2試合、南米勢1試合と、アフリカ勢との対戦はありませんでした。
このU-23マリ代表との一戦が、パリ五輪に向けて非常に大きな意味を持つ理由が、2016年リオデジャネイロ五輪の戦いにありました。
■グループリーグ敗退は「ナイジェリアとの初戦の敗戦がすべて」
リオデジャネイロ五輪代表には、現日本代表キャプテンの遠藤航選手をはじめ、南野拓実選手、浅野拓磨選手らがそろい、メダルの期待も高まっていました。
しかし結果は、1勝1分1敗でグループリーグ敗退。大会を終えた選手たちが口をそろえたのが、「初戦の敗戦がすべて」ということでした。
その初戦の相手は、アフリカ勢のナイジェリア。当時チェルシー所属のミケル選手や、当時ローマに所属し、現在はレアル・ソシエダで久保選手とチームメートのサディク選手らをそろえる中、会場のある現地入りが試合当日の7時間前になるなど、トラブルがあったことでも話題になりました。
その相手に対し、日本はミスが重なり4対5で敗戦しましたが、その理由の1つがアフリカ勢特有の身体能力にあったといいます。
日本は、ナイジェリア対策として、16年5月以降アフリカ勢3か国(ガーナ・ギニア・南アフリカ)と対戦しました。
しかし負傷などもあり、ナイジェリア戦の先発メンバーには、この3試合に出場のなかった選手が遠藤航選手を含め4人いました。パリ五輪では、普段試合することが少ないアフリカ勢との対戦可能性もあるため、特有の身体能力を経験しておくことが、メダル獲得に向けた大きな意味を持つと言われています。
■パリ五輪出場をかけた日程の違い
リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」の決勝では、浅野拓磨選手の逆転ゴールで韓国に勝利し優勝を成し遂げました。
その試合の開催時期は16年1月で、五輪出場を決めて以降は、強化試合を含め8試合を経験し8月の五輪本大会へとつなげました。
しかし、今年のパリ五輪出場をかけたアジア最終予選は、4月から行われる「AFC Uー23アジアカップ」です。
つまり、五輪出場決定後に組める試合も少なくなるため、現時点で対戦経験の少ないアジア勢以外との強化試合は、メダル獲得への大きな意味を持つ一戦になるのです。
■五輪で対戦可能性もあるマリとアフリカ勢対策のキーマン
パリ五輪に出場するのは16チーム。そのうち12チームがすでに決定していますが、その1つがアフリカのマリ代表です。
つまりパリ五輪で対戦するかもしれないアフリカ勢との強化試合は、重要な意味を持つこととなります。
その中で、アフリカ勢相手に活躍を期待されるのが、FC東京の松木玖生選手です。
現在20歳で、パリ五輪は21歳で迎えます。23歳以下で構成されるパリ五輪世代の中では、中心となる年代ではありませんが、“フィジカルモンスター”とも言われる球際の強さを持ち、21年度の全国高校サッカー選手権では青森山田のキャプテンとして優勝に貢献。さらに今シーズンからはFC東京でもキャプテンに就任するなど、大一番の勝負強さや気持ちの強さを併せ持ちます。
去年のFIFA U-20ワールドカップでは、キャプテンとして国際舞台を経験。初戦でセネガルと対戦した時には、自らゴールを奪うなど、アフリカ勢相手にも負けない強さで勝利に貢献しました。
残り4か月となったパリ五輪を前に行われるマリ代表との強化試合。アフリカ特有の身体能力を持つ相手から、日本の“フィジカルモンスター”が勝利を目指します。