父と目指した五輪 フィギュア鍵山優真ショート2位
北京五輪フィギュアスケート代表の鍵山優真選手。団体の男子フリーで自己ベスト更新、シングルのショートプログラムでも自己ベストを更新して2位につけるなど、勢いが止まりません。コーチでもある父と二人三脚で挑む五輪。荒川静香さんが見た鍵山選手とは。
■コーチの父親は五輪の“先輩”
「すごい得点が出ました!108.12!」男子シングルのショートプログラムで自己ベストを更新。2位につけた鍵山優真選手。演技後には「初の五輪で、緊張すると思ったけど、最初から最後まできょうは楽しめたかなと思います」とコメントしました。ショートの得点が出た時、隣で抱き合ったのが、コーチでもあり、五輪に二度出場した父・正和さんです。
日本テレビ系北京五輪メインキャスターの荒川静香さんは、以前、鍵山選手に正和さんについて聞いていました。
荒川静香さん
「お父さまが素晴らしい選手だったというのは、いつ頃から認識していたのでしょうか」
鍵山選手
「小学生くらいだった気が…」
荒川静香さん
「鍵山選手がスケートを始めた頃はまだ認識していなかった?」
鍵山選手
「全然わからなかった笑」
そんな父・正和さんの指導は時に厳しく、朝晩3時間、1日6時間の練習を課したこともあったといいます。
■病に倒れた父
コーチの父が病に倒れたのは、鍵山選手が中学生の時でした。当時のことを鍵山選手は、「あまりよくわからなかった状態だったが、これから一人で頑張っていかないといけない」と振り返っています。ただ、つらいこの時期は、鍵山選手の成長を促した時期でもあったといいます。
鍵山選手
「自立というか、自然に『自分の課題はこうだから、明日はこういう練習をしよう』とか考えるようになった」
一方、父・正和さんは病室で練習映像を確認。鍵山選手は時々病院に行き、スケートについて話したということです。正和さんがリンクに戻ってくるまで、半年ほどこうした日々が続きました。
■二人三脚でつかんだ五輪切符
去年12月。北京五輪代表選考会もある全日本選手権で3位に入り涙した鍵山選手は、羽生結弦選手、宇野昌磨選手とともに念願の五輪の切符をつかみました。
■新たに組み込んだ4回転、本番で決める強心臓ぶり
今季、鍵山選手が新たに挑戦している「4回転ループ」。しかし、これまでに試合で成功させたことはなく、全日本選手権では組み込んでいませんでした。北京五輪では構成に入れる決断をしましたが、鍵山選手にとって北京五輪の初戦となる団体・男子フリー当日の練習も転倒するなど、4回転ループに苦戦していました。しかし、本番では4回転ループを着氷させ、フリーの自己ベストを更新。大台の200点超える208.94で1位となりました。フリーで200点を超えたのは羽生選手、ネイサン・チェン選手に次ぐ3人目。鍵山選手の活躍もあり、日本は団体で史上初めてとなる銅メダルを獲得しました。
■男子シングル日本史上最年少でのメダルへ
8日に行われた男子シングルのショートプログラムでもノーミスの演技を披露し、2位につけた鍵山選手。9日、翌日に控えたフリーの曲をかけて練習を行いました。4回転サルコウ、4回転ループ、4回転トウループと、次々と4回転を決めました。練習を見た荒川静香さんも「鍵山選手が一番のびのびやっている」。
ショートを終えた鍵山選手は「ずっとこのオリンピックという舞台を目指して今まで練習してきたので、フリーも全力でやれたらいいなと思っています」とコメントしています。