金候補・文田が明かした戦友からの言葉
レスリングのグレコローマン60キロ級代表の文田健一郎選手が16日、オンラインでの取材に応え、「いいコンディション。早く試合がしたい」と意気込みました。
「NTC(ナショナルトレーニングセンター)で調整できるのはこの上ない環境。いままで通りの環境で調整できている。食事とか流れもいつも通りでいい調整ができています」
「順調」と話す文田選手ですが、五輪直前にして自分のレスリングを見失いそうになってしまったことがあったそうです。そんな時、同じ60キロ級で東京五輪代表の座を争ってきたかつてのライバルで今は総合格闘家に転向した太田忍選手が練習場に現れたといいます。
「『自分からポイントを取りに行く』『攻めなきゃ』という感じで焦りがあった。そのときに忍先輩が来て、(スパーリングで)攻めてカウンターでやられて。『無理して攻めてる。おまえの形じゃなくなってるよ。無理に攻めるんじゃなくて、おまえが強みにしてきた部分で戦え』と言われてハッとした」
その1週間後、再び太田選手とスパーリングを行ったときには文田選手が勝利。
「自分の戦い方をしろと言ってくれたおかげで調子が取り戻せました。『おまえも焦ってんのな』って言われました。世界での戦い方はあの人から教わっているので。最後に世界で勝つために必要なものはあの人から学んだ。忍先輩が自分に身につけさせてくれたものをもってしっかり東京で結果を残してきたいと思います」
太田選手はリオ五輪に出場し、銀メダルを獲得していますが、そのときに練習パートナーとして一緒に現地入りしたのが文田選手。リオで先輩の戦いを目の当たりにした文田選手は当時『東京は自分が出る』と強く思ったといいます。
「現地(リオ)に行ってみて、代表になりたい、頂点に立ちたい、という気持ちを変わらないまま持ち続けられたのでここまで来られたのかなと思います」
かつてのライバルの思いも背負い、文田選手は8月1日に予選、2日に決勝をむかえます。
写真:森田直樹/アフロスポーツ