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江川卓の高校時代を対戦相手が語る

2021年12月12日 17:33
江川卓の高校時代を対戦相手が語る

“昭和の怪物”として、高校野球の歴史的な投手として注目された江川卓さん。11日の「Going!Sports&News」では、栃木県・那須烏山市を訪れ、当時のスゴさについて、高校時代に対戦したことのある棚橋誠一郎さん、堀江隆さん、神長富士夫さん、園部賢一さんの4人に話を聞きました。

◆新年恒例の江川会「江川の話で一晩飲んじゃう」

4人が毎年、恒例の新年会として行っているのが通称“江川会”。「話はもう江川しかない。だから江川の話をしたら一晩飲んじゃう。江川投手が全然知らないところでね、栃木の片田舎で盛り上がっているんですよ」

その中で必ず話題になるのが、50年前の1971年栃木県大会での作新学院対烏山の一戦。江川さんはこの試合103球で“完全試合”を達成しました。

当時対戦していた棚橋さんは、「これは栃木県で初めてだ。『何としても完全試合を阻止しろ』と、緊張感が走った」と当時を振り返りました。

同じく対戦した神長さんは、「完全試合で負けたのはすごくショック」と当時の悔しさを話す一方、「今、お酒が飲めるのがそのおかげ」と50年たって、江川さんの完全試合が記憶にも記録にも残っていることを喜んでいることも明かしてくれました。

◆「ヒットを打ちたい」江川の試合は必ず偵察

高校野球界の怪物からヒットを打ちたいと常に考えていたのが、棚橋さん。江川さんの投げる試合は通い詰めて研究したそうです。

「当時は土曜日とか授業があった。でも土曜日休みました。試合を見に行くために、ありとあらゆる研究。江川さんのフォームとか逐一チェックしていました」

江川研究家だったと話す棚橋さん、投げるときのある癖を発見したそうで。

「当時は顔の表情で、彼がカーブを投げるのか、投げないのかを判断していました。江川さんはカーブとまっすぐしかなかった。真っすぐの時は口が引き締まっている感じ。カーブの時は口元が緩かった」と話した棚橋さん。

たゆまぬ努力のかいもあり棚橋さんは、高校時代、江川さんから4本のヒットを記録。全国の高校球児の中で最多の本数でした。

「レフトオーバーはたぶん甲子園でもなかったと思う。江川さんのボールを芯で打てたのは多分私だけじゃないですか」と、棚橋さんは誇らし気に口にしました。

◆怪物の甲子園デビュー 江川会も大興奮

栃木県内で他のチームを圧倒してきた江川さんは、高校3年生で、ついに甲子園に初めて出場を果たします。

デビューとなった、第45回選抜高等学校野球大会・1回戦の北陽高校(大阪)との試合は、江川会メンバーにとっても印象的な試合でした。

北陽高校は、この大会に出場した中でトップのチーム打撃を残している強打のチーム。その北陽高校に対し、江川さんは19奪三振をあげました。その姿に県大会決勝で敗れた江川会のメンバーは喜びをかみしめていました。

「僕ら決勝のときは10個しか三振を取られなかった。西の横綱・北陽から19個。じゃあ、我々も結構いいねみたいな」と、栃木から出た怪物・江川卓の活躍に胸を躍らせていました。

江川さんは、この大会で60奪三振をマーク。今なお、破られていない不滅の記録を打ち立てました。

怪物・江川卓と高校3年間を全力で戦った時間は、江川会のメンバーにとって、今なお、かけがえのないものとなっています。

写真:日刊スポーツ/アフロ