「青春って、すごく密なので」夏の甲子園優勝校・仙台育英の須江航監督のインタビュー全文
今年の夏の甲子園は、開会前に新型コロナウイルスの影響を受けながらも、開催となりました。
開会式では全員が行進できず、キャプテンのみが参加するというものでしたが、横浜の玉城陽希選手が「これらの苦しい時期を乗り越えることができたのは、ほかでもない、ここに甲子園があったからです」と選手宣誓を行いました。
大会連覇を狙う智弁和歌山や春夏連覇に挑戦する大阪桐蔭などが敗退していく中、最後に決勝で戦ったのは山口の下関国際と宮城の仙台育英でした。
結果は仙台育英が8-1で勝利。勝利監督インタビューとして放送された、須江航監督のコロナ禍を生きる教え子たちへの「青春って、すごく密なので」という言葉で始まったくだりは、感動を呼びました。
▽以下、須江航監督のインタビュー全文
――初優勝おめでとうございます。
宮城のみなさん、東北のみなさん、おめでとうございます!
――ゲームセットの瞬間、少し目元をおさえていらっしゃいました。どんな思いですか?
100年、開かなかった扉が開いたので、多くの人の顔が浮かびました。
――宮城のみなさん、東北のみなさんの夢、かないましたね?
準決勝を勝った段階で、本当に東北や宮城のみなさんからたくさんのメッセージをいただいて、本当にアツい思いを感じていたので、それに応えられて何よりです。
――(打順)2巡目に入ったところから、相手の変化球を積極的に振っていったようでしたが、どんな狙いでしたか?
前半は(下関国際の)古賀君もすごい良いピッチングをしてたので、焦りはありませんでしたけど、本当に翻弄(ほんろう)されている感じでした。
でもここまで、宮城大会の1回戦からつちかってきた、今年の選手のできること、自分たちが何をやってきたのか、本当に立ち返って、選手自身がよくやってくれたと思います。
――強力な投手陣5人を擁して、この甲子園でも継投で優勝まで至りましたね?
今日は本当に斎藤(蓉)がよく投げてくれて。でも県大会は投げられない中でみんなでつないできて、つないできて、最後に投げた高橋も、今日投げなかった3人のピッチャーも、スタンドにいる控えのピッチャーも、みんながつないだ継投だと思います。
――今年の3年生は入学した時から、新型コロナウイルスの感染に翻弄されてきました。それを乗り越えての優勝。3年生にどんな言葉をかけたいですか?
入学どころか、多分、おそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて。高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんです。
青春って、すごく密なので。
でもそういうことは全部ダメだ、ダメだと言われて。活動してても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で。でも本当にあきらめないでやってくれたこと、でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、全国の高校生のみんなが本当にやってくれて。
例えば、今日の下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、どんな時でも、あきらめないで暗い中でも走っていけたので。
本当に、すべての高校生の努力のたまものが、ただただ、最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。