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ビジネス界の「Mr.オリンピック」上治氏が五輪総括次の開催地招致に「札幌」の意義

2022年2月21日 19:29
ビジネス界の「Mr.オリンピック」上治氏が五輪総括次の開催地招致に「札幌」の意義
元ミズノ副社長で、東京2020大会組織委員会参与も務めた上治丈太郎さん

1988年より夏と冬の五輪に連続17回スポンサーなどで関わった、元ミズノ副社長の上治丈太郎さん。ビジネス界の「Mr.オリンピック」ともいわれる上治さんに、スポーツビジネスの観点から閉幕した北京冬季五輪を総括してもらいました。

元ミズノ副社長で、東京2020大会組織委員会参与も務めた上治丈太郎さん(74)は、10数年来スキー用品や用具に関連する企業を中心に構成する「日本スキー産業振興協会」の副会長も務めています。

今回の「スーツ規定違反問題」に対する感想を聞くと、

「長年スキーのジャンプスーツは、メーカーがシーズン初めに国際スキー連盟(FIS)が指定する場所でスーツの通気量検査を行っていました。しかし、14年ソチ大会後、数値の誤差や違反行為などがあったため、ジャンプ後にもチェックするように変更されました。

15年~16年シーズンからは、18年の平昌大会に向けて、各メーカーがFISのマテリアル規定に従い、自らの責任でスーツを作製し、ジャンプ後にFISによるランダムチェックを実施するようになりました。

今大会では、コロナ禍のため、現地入りの検査を行うFISの役員人数が絞られ、少人数でしかも人によっては測り方が異なるという時代と逆行するようなアナログ的な検査方法を行った国際スキー連盟(FIS)に疑問を感じざるを得ません。

また最近、ジャンプスーツは、ビジネス的には需要が限られていて、大手メーカーはほとんど作らなくなり、ジャンプ経験者などが生地を購入し家内工業的に縫製を行い、有名メーカーのロゴを後で着けるようになったというのが実情です。正直に申し上げると、このスキージャンプのスーツ問題で、新種目となった混合団体競技が残念な結果となってしまったと思います」と話しました。

■30年冬季五輪の開催地招致をめぐって「札幌」に注目

次の26年冬季五輪は、イタリアのミラノ・コルティナで開催されますが、8年後の30年冬季五輪の招致に向けて「札幌」が話題となっています。

「札幌」は1972年、今から50年前、アジアで初めて冬季五輪が開催された場所です。

30年冬季五輪に向けて現在、カナダのバンクーバーやアメリカのソルトレイクシティ、スペインのバルセロナとピレネーが関心を示していると言われる中、「札幌」の行方が注目されています。

「前回、東京招致の際にも、国際オリンピック委員会(IOC)や国際社会から『WHY TOKYO?』というような質問を多く受けました。『なぜ、東京が2回目を開催したいのか』に対し、我々は『東日本大震災からの復興』を開催の意義に挙げました。今度は『WHY SAPPORO?』になるので、単に30年に北海道新幹線が札幌駅まで延伸など施設の老朽化に伴うインフラ整備ではなく、五輪の意義を見いださなければいけません」と語る上治さん。

札幌市によると、30年の冬季五輪の招致に向けて、来月上旬に北海道の住民を対象にした意向調査が実施される予定です。

今回の大会を総括する上治さんは、「北京冬季五輪を見て、政治に翻弄されない五輪招致を北海道民、札幌市民に訴求していくことが重要でしょう」と話します。