【槙野解説】ワールドカップ前最後の強化試合・カナダ戦で敗戦も「ポジティブに捉えている」収穫と課題を語る
サッカー日本代表は日本時間17日、ワールドカップ前最後の強化試合でカナダ代表と対戦。この試合を元日本代表DF・槙野智章選手(ヴィッセル神戸)が解説しました。
カナダ代表は"仮想コスタリカ代表"
今回の対戦について「(カナダ代表は)結構引いて守る守備が得意なチーム。ボールの動かし方や戦術も含めコスタリカ代表に似ている」と仮想コスタリカと表現し、「守る相手に対して0-0で進めば進むほど相手にリズムをつかまれるので、前半のうちにシュートチャンスをつくらないといけないですね」と試合のポイントをあげました。
試合は前半8分、柴崎岳選手のロングボールに相馬勇紀選手が合わせ、日本代表が先制します。
この展開に槙野選手は「相馬選手が右サイドから中に向かって斜めに走るダイアゴナルランと言う動きが相当効果的でした。あれがゴールにならなくても、あのパスとランニングの数を増やせば、自然とカナダのディフェンスラインはぐっと下がるでしょう。すると今度は真ん中が開いてきたりサイドが出てきたりする。カナダの選手たちが後ろ向きな守備になるような、良いランニングと良いパスが出たシーンだと思います」と解説しました。
また、槙野選手は日本の守備についても「相手がボールを保持するとき、いつもより高い位置からプレスをしている。浅野拓磨選手や相馬選手は走力があって、フィジカル面で良い選手を並べていることから、高い位置からボールを奪いにいこうというチームのサインがあると思うし、それがプレーで体現できていると思います」と評価しました。
「(前半14分)オフサイドをちゃんと取りにいっている。前線からプレスをしているとき、後ろの選手のラインがぐっと上がっている。これで後ろの選手のラインが上がらないと、後ろと前の選手たちの距離が間延びしてしまうので、前と後ろの距離感が素晴らしいですね」とチーム全体で高い位置での守備ができていると語りました。
コーナーキックのポジションに課題
しかし前半17分、カナダにコーナーキックを与えると、槙野選手は選手のポジショニングに疑問を持ちます。
「南野拓実選手と浅野選手がストーンと言われる位置(ニアサイド)にいるんですけど、これは相手の攻撃にとってはラッキーですね。日本代表はストーンとマンツーマンの併用というやり方をしていて、基本的に南野選手と浅野選手がぽつんと立っている。カナダにとってはそこが狙い目。本来ならもっと高くて強い選手を送るので、あそこは結構狙われますね。なんであそこに置いているんだろう」
すると前半21分、再びコーナーキックのピンチ。ボールはストーンの位置にいる南野選手と浅野選手がギリギリ届かない高さで蹴り込まれると、ゴール前にいたカナダの選手が足で合わせ得点を許します。
この失点に槙野選手は「本来ならば、浅野選手と南野選手のところでボールを弾けるはず。あそこは身長が高くて強い選手を置かないともったいないですよね。これはもう、親善試合で良かった。これはポジティブに捉えるしかないです、本番じゃなくてよかった」と課題をあげました。
"リーダー不在"で守備の連動性にズレが
後半に入ると、日本の高い位置での守備にほころびが見え始めたと槙野選手は言います。
「前半に比べると後半は守備の連動性が合っていない感じがしますね。メンバーが変わって、どこからいくのか誰がいくのかがはっきりしていない。前後が連動して高い位置でボールを奪って攻撃に、というところがあまりなく、前にプレスにいくことによって裏のスペースを開けてしまい、ロングボールで裏を取られるシーンが出てきています」
――どうすれば修正できる?
「リーダーシップを取る選手、誰がボールに行くのか下がるのかというところをはっきりと指示出す選手は必要ですよね。柴崎選手なのか板倉滉選手なのか谷口彰悟選手なのか。行くところ下がるところのメリハリを持たなきゃ」
日本は後半アディショナルタイムでカナダにPKを与え1-2で敗れました。
この結果に槙野選手は「気温や環境面のところで問題があったかもしれないですけど、後半はチームとしても運動量が落ちてしまったので、改善の余地があると思います。チームとしてどのように90分を進めていくか、誰がリーダーシップをとって、どのようにゲームを進めていくかという意味でも、ゲームをコントロールする選手は必要になってくるんじゃないかなと思います」と振り返りました。
それでも槙野選手は「前半はボールを失った瞬間に高い位置での守備の意識や切り替えたところなど、随所にいいプレーがでていたと思う。今日の敗戦はチームに対して、良い刺激が入ったと思うので、僕はすごくポジティブに捉えてます」と収穫を口にしました。
日本のワールドカップ初戦となるドイツ戦は23日に行われます。