10月は“今年最大”食品値上げラッシュ 最低賃金も引き上げで“時給アップ”は?
“食欲の秋”といいますが、10月から“今年最大”の食品値上げラッシュとなります。一方、値上げラッシュの中、1日から最低賃金が引き上げになります。「賃上げ」はどこまで進んでいるのか、飲食店からは“時給アップ”に悩む声が聞かれました。
◇
「そんなものも上がるんですか」
「大学生は常に厳しいので、これ以上、上げないでほしい」
街行く人たちが嘆く理由、それは今年最大の食品値上げラッシュです。
帝国データバンクの発表によると、10月は2911品目もの食品の値上げが予定されているというのです。特に、ハム・ソーセージなどの加工食品や飲料などで値上げされる品目が多いといいます。いったいどれほど値上げされるのか。
2日から値上げを予定している横浜市のスーパーマーケット。値上げする商品の数は、なんと…
スーパーマーケットセルシオ和田町店 鶴田英明店長
「(10月分は)300点くらい案内が来ているので」
約300の商品の値札の張り替え作業を行っていました。199円で販売していた1.5リットルのコカ・コーラが、60円値上げの259円に。
スーパーマーケットセルシオ和田町店 鶴田英明店長
「かなり買いづらい値段になってきましたね」
さらに…
記者
「550ミリリットルの水が、119円から139円に値上がりました」
油関係の値上がりも多いといいます。
今年最大の食品値上げラッシュに、買い物客は…
買い物客
「きついなと。色々なものが値上がりして家計に厳しい」
──収入がその分、増えたり?
買い物客
「上がらないです、全然。目減りするばっかり」
押し寄せる値上げの波。乗り越えるために必要なものは「賃上げ」です。1日から順次、全国の都道府県で最低賃金が引き上げられます。
全国平均の引き上げ額は過去最大の51円。最高は東京都で1163円、最低は秋田県の951円です。最低賃金が1000円を超えるのは16都道府県となり、去年より大幅に増加しました。
都内にある洋菓子店「パティスリーアンシェヌマン」では、1日から時給を50円引き上げました。
オーナーシェフ 田中俊幸さん
「きょうから時給が変わりました」
1時間50円の増額でも…
オーナーシェフ・田中俊幸さん
「たった50円かもしれないけど、年間で見るとバカにできる数字ではない」
原材料の高騰と価格転嫁のバランスに悩む店にとっては、難しい問題です。時給があがった従業員が効率よく、たくさんの仕事ができるよう、工夫もしています。シャインマスカットと生クリームのマリアージュがたまらない、丸いケーキ。実はショートケーキなんです。
オーナーシェフ・田中俊幸さん
「一般的な三角のショートケーキにしないのは、スポンジをスライスして、クリームぬって、カットしてフィルムを巻いてという手間をできるだけ省こうと」
時給をあげつつ、利益もあげる。その難しさについて、次のように話します。
オーナーシェフ 田中俊幸さん
「最低賃金が上がることによって、働く人の能力、効率も同時に上げていかないと、バランスが崩れてしまう」
最低賃金の上昇について、街の人に聞いてみると…
千葉・大学生(20)時給1150円
「友達から言われて、期待してたけど、賃上げされないかもしれない」
東京・大学生(20) 時給1300円
「自分は時給1300円で、東京なんですが、賃上げの話題は職場で出ていない。どうなるかわからない」
最低賃金の上昇を実感している人は少ない様子でした。
◇
東京・千代田区にある、時給1300円のお好み焼き店「お好み焼 ねぎ焼 十々」は、今回の時給アップは見送り。しかし…
渡邉哲店主
「時給は上がっているんだけど、物価も上がっているので、その(時給の)上がりって、たいしたことないと思う。彼らにとっても」
従業員たちの苦しい状況を思い、さらに時給を上げたい考えですが、それを阻むのが原材料の高騰です。
渡邉哲店主
「もっと上げないといけないのはわかるんですけど、本当に我慢比べ」
季節が移ろうなか訪れた、値上げと最低賃金の上昇。店舗や消費者への影響は避けられそうにありません。