自民党への企業・団体献金は23億円──党幹部「禁止=自民党がなくなる時」 「社会的責任果たすため」…上位10社の狙いは?
国会で議論されている、政党などへの企業・団体献金。自民党に至っては、収入の10%にもなる23億円が去年寄付されています。企業側の目的は何にあるのか、アンケートを実施しました。多くの企業からは「使途の透明性を高めるべき」との声が上がっています。
藤井貴彦キャスター
「禁止をするのか、それとも維持するのか。今国会で議論されているのが、政党などに対して行われる企業・団体献金です」
「去年、自民党の政治団体に対する献金額が多かった上位10社を見てみます」
「住友化学やトヨタ自動車(5000万円)をトップに、キヤノン(4000万円)、日産自動車(3700万円)、野村HD・日立製作所(3500万円)、三菱重工業(3300万円)、ゼンショーHD・大和証券G本社・日本製鉄(3200万円)と、大手企業が名を連ねています」
「そもそも、企業は何の目的で特定の政党に寄付をしているのでしょうか?」
「この10社にアンケートを行ったところ、非回答を含めて10社全てから返答がありました。献金する理由を複数回答で聞いたところ、最多は『企業の社会的役割を果たすため』で7社でした。次いで『政党の政策や主張を支持・支援するため』が3社でした」
「アンケートには、『自社の要望を取り入れてもらうため』などの選択肢もありましたが、これを選んだ企業は1社もありませんでした」
「一方で、この10社とは別ですが、ある業界団体の関係者は『弱い業界なので政治にルートを持っておいた方がいい。お願いをするためではなく、情報交換のための献金だ』と話していました」
藤井キャスター
「献金をする側にも様々な理由があるとわかりました。自民党だけではなく、他の党も献金は受けているのですよね?」
小栗委員長
「各政党の本部が企業・業界団体・政治団体などから去年寄付された金額を見ると、自民党が圧倒的に多く、約23億円でした。次に多いのが立憲民主党で約76万円。収入の中で占める割合で見ても自民党は約10%で、立憲民主党の0.01%と比べても突出しています」
「それだけに、ある自民党幹部は『企業・団体献金の禁止は、イコール自民党がなくなる時だ』として、何としても企業・団体献金を継続する構えです」
「一方の野党側は、これをなくせば自民党を弱体化させることにもつながりますし、『企業・団体献金が腐敗や癒着の温床となり、政策決定を歪めてきた』として、禁止を求めています」
「ただ、立憲は企業・団体献金を禁止するための改正案を出していますが、政治団体を禁止の対象から除くとしています。立憲などを支援する労働組合側からの献金を受け取る抜け道になるのでは、と国民民主党などが指摘。野党も一枚岩ではありません」
藤井キャスター
「どの政党も多く活動資金を得たいという気持ちはあるのでしょうが、政治とカネをめぐっては癒着を生み、政策を歪めて事件になった歴史もあります。これは繰り返してはいけません」
小栗委員長
「実際、献金する企業側もお金が正しく使われているか明らかにすべきだと考えています。今回のアンケートでは多くの企業が『使途の透明性を高めるべき』と答えたほか、中には年1回ではなく『上場企業並みの年4回の使途公開を行うべき』という回答もありました」
篠原ともえさん(デザイナー/アーティスト『news zero』水曜パートナー)
「私が『news zero』に出演し始めた(ことし)10月は、政治とカネの問題について衆院選で国民全員が気になっていたタイミングです。この企業献金もそれにつながる話だと思います」
「献金をしている起業の方々が『透明性を高めてほしい』と言っているのであれば、その声には応えてほしいなと感じました」
(12月11日『news zero』より)