プーチン大統領 特別インタビュー全文6
北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(6/20)
■高支持率の両首脳 解決の条件が整ったタイミング?
――私は、政治家ではなく、外交官でもないので、交渉当事者では当然ない。ただ、日本国民の一人として、あるいはメディアの端くれにいる者として、今このタイミングというものが、その56年の共同宣言から60年たっていること、プーチン大統領の国内的なその政治基盤は非常に強固である。80%以上の人の支持を集めている。安倍首相も実は、日本国内では政権基盤としては非常に強い方の政権だと思う。私たちの世論調査でも、50%を超える人の支持を得ている。国民の側の理解だが、少なくとも日本の側は、世論調査を見ると、かつては4島一括返還でないといけないという声が大きかったが、最近では2島先行返還でもいいという人の声も非常に大きくなってきた。その意味で、この三つの要素が揃うタイミングというのは、この条件が揃うだけで非常に困難なことだと思う。今はまさにそのジャストタイミングだと、メディアの人間としては、そのように解釈する。大統領は、これだけの条件が揃いながらも、前に進むことが困難な状況だという認識なのか。
はい、そうです。おっしゃる通りです。安倍首相も私も国内の支持率はかなり高いです。しかし、私にその信頼を乱用する権利がないと考えています。
見いだすことができるどんな解決策もロシアの国益に合致しなければなりません。しかし、我が国の国益のリストには日本との関係正常化が含まれていて、それは最後の項目ではないのです。
これが解決のために提案される総合的な対策です。両国間の関係の正常化に関する対策です。そのあと、どのように進むのかという重要な課題のパッケージです。それは討議され、決断されなければなりません。ただし、その解決策は実務的なものであるべきです。
例えば、私は首相と一緒に両国、両国民の間の友好と信頼の雰囲気作りについてよく話し合ってきました。これは正しいことだと思います。
■「平和条約締結のための基礎は友好と信頼の雰囲気作りから」
その信頼を基礎として、平和条約締結への準備について合意すべきです。それは、例えば、南クリル諸島(北方領土)における大規模な共同経済活動の結果として達成することができるかもしれません。
また純粋に、人道的な問題を解決することによって達成できるかもしれません。例えば、南クリル諸島(北方領土)の元島民がビザなしで昔の居住地を訪ね、墓参りをし、故郷を訪れることなどです。
■「日本が一方的に交渉を中断。対ロシア経済制裁も行った」
それは我々が検討し、一つ一つ解決する大きな問題のパッケージです。2000年に交渉が再開された後、我々は平和条約の締結に向けた交渉を拒否したことはありません。
しかし、数年前に、日本が一方的にその交渉を中断して、我々との接触を断ちました。我々が日本との接触をやめたのではありません。
日本側が我々との接触を拒否しました、これが第一です。第二は、日本はロシアへの制裁に加わりました。制裁を受けたまま、経済関係をより高いレベルに進展させることができるのでしょうか。私は今、日本は何ができたか、何をするべきだったかと評価したくありません。それは私ではなく、日本の指導部のやるべきことです。
しかし、日本が(アメリカとの)同盟で負っている義務の枠内で、露日の合意がどれぐらい実現できるのか我々は見極めなければなりません。日本はどの程度、独自に物事を決められるのでしょうか。我々は何を期待できるのでしょうか。最終的にどのような結果にたどり着けるのでしょうか。
■「前向きな前提は確かにある。しかし、最終合意は…」
それはとても難しい問題です。今おっしゃった通り、明らかに前向きな前提があるにもかかわらず、その前提は確かにあるのですが、我々は今すぐ最終的な合意を達成できると100%確信を持って言えるのでしょうか。
わかりません。これはまだ、真剣な検討が必要な問題です。でも、我々は本当にそうした結果を目指しています。