【全文】日本政府、北朝鮮へのさらなる制裁を閣議了解 松野官房長官(10/18午前)
松野官房長官は、18日午前の会見で、政府が核ミサイル開発に関与した5団体の資産を凍結するなど、北朝鮮へのさらなる制裁を閣議了解したと明らかにしました。
<会見トピックス>
▽北朝鮮制裁
▽円安
▽"統一教会"質問権行使
▽日露関係
▽公的年金制度
▽ウクライナ情勢
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。一般案件等7件、人事が決定されました。
大臣発言として外務大臣から、外国為替および外国貿易法に基づく北朝鮮の核その他の大量破壊兵器および弾道ミサイル関連計画、その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与するものに対する資産凍結等の措置についてご発言がありました。
今月4日に我が国の上空を通過させる形で弾道ミサイルを発射するなど、極めて高い頻度で続く北朝鮮による一連の挑発行動は、我が国の安全保障にとって、重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域および国際社会全体の平和と安全を脅かす暴挙であり、断じて容認できません。また、岸田内閣の最重要課題である拉致問題についても、北朝鮮からは解決に向けて具体的な動きが示されていません。このような状況の中、本日の閣議においては、拉致、核、ミサイルといった、諸懸案の包括的解決のための我が国のさらなる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている、核ミサイル開発に関与した5団体を外為法に基づく資産凍結等の対象として、追加指定することを了解しました。
我が国としては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に関し、北朝鮮が問題解決に向け具体的行動をとるよう強く求めます。また、日米、日米韓で緊密に連携するとともに国際社会とも協力しながら、北朝鮮の非核化を目指していきます。
――今ご紹介ありました北朝鮮に対する追加制裁について。
今回の措置に至った経緯とアメリカ、韓国も先に追加制裁を発表しているが、足並みを揃えた対応であるのか、その狙いや今後の対応について伺います。
○松野官房長官
今回の措置の経緯は冒頭申し上げた通りでありますが、北朝鮮への対応については、日米、日米韓では日頃から緊密に連携をしてきています。北朝鮮に対する今後の対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から、今後とも不断に検討していく考えであります。いずれにせよ、北朝鮮による核ミサイル開発は、我が国および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら北朝鮮の完全な非核化を目指していく考えであります。
――関連。
今回の制裁が日本独自のものであるならば、いつ以来のものなのか。また、北朝鮮は核実験を含めてさらなる挑発行為に及ぶおそれがあるが、政府の現状認識と分析を改めて伺う。
○松野官房長官
我が国の対北朝鮮措置としては本年4月1日以来です。政府としては平素から北朝鮮の軍事動向について、必要な情報収集、分析を行ってきており、今後北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性があるものと考えています。北朝鮮による核ミサイル開発は我が国および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。政府としては、引き続き、必要な情報の収集、分析および警戒監視に全力をあげていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
――今回の資産凍結で、資産凍結の制裁は全部で何団体で個人はどれくらいという数字は分かるか。
○松野官房長官
詳細につきましては、外務省の方にお尋ねいただきたいと思います。
――円安について伺います。
ニューヨーク外国為替市場で一時1ドル149円台となり32年ぶりの安値を更新しました。FRBが積極的な利上げを進める一方で、日銀の黒田総裁は金融緩和の継続を表明したことで日米の金利差がさらに拡大するとの観測が高まっており、今後もドル買いの傾向が続くとみられています。政府は市場で過度な変動がある場合には適切な対応を取ると繰り返し表明していますが、市場に対する現状認識はいかがでしょうか。
○松野官房長官
日々の為替相場の動きについて、逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにせよ、これまでも申し上げている通り、為替市場の動向を高い緊張感をもって注視をするとともに、過度な変動に対しては適切な対応をとりたいと考えています。
――公的年金制度について伺います。
一部報道で、政府が国民年金の保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年間から5年延長して65歳未満の45年間とする案を検討していると報じられています。これについての事実関係と、現時点で次の公的年金制度の改正ではどのような見直しが必要だと考えているのかお伺いします。
○松野官房長官
年金制度においては、5年に一度財政検証を行い、それに基づき、制度改正を行うことが通例となっています。次期財政検証は令和6年に予定されており、その後の制度改正の内容について現時点で決まってるものはありません。一方で、令和2年年金制度改正法の検討規定には所得代替率に占める基礎年金部分が減少していく見通しを踏まえて、公的年金制度の所得再配分機能の強化について検討し、必要な措置を講ずることが盛り込まれています。検討規定を踏まえて、どのような制度改正を行っていくか、今後、厚生労働省において検討が進められるものと承知しています。
――旧統一教会での質問権行使について伺います。
文科省の手続きを経た後、年内の早い時期に調査が行われるとのことですが、実際の調査まではそれなりの時間を要すると思います。一部から証拠隠滅などの懸念も出ていますが、組織内の口裏合わせも含めて、必要な証拠の収集が困難になる懸念について、どう対応するのでしょうか。また、調査の結果、仮に問題なしとなった場合、教団へのお墨付きを与える懸念も出ていますが、この点についても、政府の考えを伺います。
○松野官房長官
仮定に基づくご質問について、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げれば、文部科学省において、法に定めるプロセスを適正に踏みつつ、報告徴収、質問権の最大限速やかな行使に向けての手続きを進め、客観的な事実関係の把握に努めていく考えであります。
――日ロ関係について伺う。
明日10月19日で日ソ共同宣言から66年。現在、ロシアによるウクライナ侵攻で日ロ平和条約交渉の見通しが立っていないが、現状に対する政府の受け止めと今後どう平和条約締結に向けて取り組んでいくのか。
○松野官房長官
1956年10月19日に署名された日ソ共同宣言は、日ソ両国間の外交関係を回復させるとともに、その後の平和条約締結に関する交渉プロセスの出発点を設定した基本的な公的文書であると認識しています。本年3月ロシア側は平和条約交渉を継続しない旨、発表しましたが、こうした措置は、ロシアによるウクライナ侵略に起因して発生している事態の全ての責任を日本側に転嫁しようとするものであり、日本政府として断じて受け入れられないことはこれまでも繰り返し述べてきた通りであります。ウクライナ情勢によって、日露関係は厳しい状況ではあるが、政府としては領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えであります。
――ウクライナ情勢について伺います。
ウクライナ当局によると、17日首都キーウで自爆型ドローンによる攻撃があり、4人が死亡しました。ウクライナ側はイランがロシアに供与したドローンによるものと主張してます。イランはロシアへの武器供与を否定していますが、政府として把握している事実関係とロシアやイランに対する今後の対応について伺います。
○松野官房長官
昨17日、首都キーウをはじめとする、ウクライナ各地で無人飛行機等による攻撃が行われ、死傷者が出ていると承知をしています。我が国としてロシアの攻撃により、ウクライナ各地において、多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めています。民間人や民間施設への攻撃は国際法違反であり、断じて正当化できないものであり、強く非難します。
事実関係について予断を持って お答えすることは困難でありますが、我が国はG7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていくとともに、引き続き、ウクライナとの連帯を堅持し、ウクライナ政府および国民を支援をしていきます。