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ネットで話題「入居者向け100円朝食」

2017年2月22日 20:50
ネットで話題「入居者向け100円朝食」

 「入居者向け100円で朝食」がネットで話題です。神奈川県相模原市で不動産管理を営んでいる会社が始めた取り組みで、賃貸物件の入居者専用食堂が駅前にあり、朝食は100円、ランチ、ディナーは500円、キッズプレートも300円で利用できます。

 食堂の名前は「トーコーキッチン」。相模原市のJR横浜線淵野辺駅から徒歩2分の場所にあります。地元・淵野辺で40年以上不動産管理を営んでいる「東郊住宅社」が2015年12月に始めました。

 東郊住宅社は淵野辺駅周辺の約1600室を管理していて、このうち6割から7割がワンルームです。駅周辺には、桜美林大学や青山学院大学などがあり学生も多い街として知られています。

 トーコーキッチンは年末年始を除き、年中無休、午前8時から午後8時まで。レトルトは使用せず、食材は地元産の中心に手作りで、元イタリアンレストランのシェフが担当します。

 トーコーキッチンは、入居者が自分の部屋に使っているカードキーがないと入れない仕組みになっているので、利用は入居者と一緒に食堂を訪れた家族や知人、物件のオーナーらに限られています。
 「入居者向け100円で朝食」に対し、ネット上では「良い取り組みだと思います!」「もっと増えるといいですね」「借りる側に寄り添ってもらえるのはうれしい」と言った反応がありました。

 なぜ、不動産会社が入居者向けの食堂を造ったのでしょう。トーコーキッチンの発案者「東郊住宅社」の池田峰さんに、狙いや背景を聞きました。

 池田さんによると、ポイントは3つあります。

 「空室率を下げる」
 「安全面だけでなく、食事つき学生マンションの需要が徐々に増えていた」
 「シングルマザーの家庭や独居の高齢者の食堂に対するニーズが高かった」

 東郊住宅社ではこれまで特に広告を打つことなく、この食堂を利用する入居者のSNSなどからネットで話題になりました。専用の食堂を持つことで「淵野辺に住む」というと強みを作ることができ、このエリアで低い空室率を保っているそうです。

 さらに、このサービスが2016年のグッドデザイン賞の「ベスト100」と特別賞「地域づくり」も受賞しました。

 池田さんは一日に2、3回は食堂を訪れ、入居者とコミュニケーションを取るそうです。不動産会社は契約や更新時に会うだけではダメで、入居者や物件オーナー、不動産会社がコミュニケーションを取ることによって、安心・安全を作り出すことが出来るそうです。

 そして、「気づいたら地域のコミュニティーになっていた」とのこと。まさに、この食堂は街の「見守りキッチン」になっているんです。(解説:デジタル編集チーム 小林整司編集長)