重度の医療的ケア児 ふうま君が小学校を卒業 最後のホームルームで涙
松山市立味生小学校。6年生100人が、きょう卒業の日を迎えました。卒業式では、杉澤嘉穂校長から一人一人に卒業証書が手渡されました。
杉澤校長:
「それぞれの目標に向けて自分自身で超えていく力を身につけていくことが大切になります。自分で次の扉を見つけ自分の力でその扉をあけ、それぞれの道を切り開いていくのです」
卒業生の一人、山本楓真くん。6年前の4月。重度の医療的ケア児としては県内で初めて、地域の小学校に入学しました。
楓真君は生後5か月の時に脊髄性筋萎縮症と診断され、命を守るために人工呼吸器をつける手術を行い、その代償に声を失いました。
母・皇世さん:
「呼吸器がついててもちゃんとふうまと会話もできるし自分の意思表示もできるから、上の子と同じ学校に行かせてあげようと」
小学校では、言葉の代わりに、指先や視線で意思を伝える練習。
男の子:「ふうまくん!」
女の子:「ふうまくん」
男の子:「海見えるよ一番奥に」
同級生との課外授業も。鼻水や唾液の吸引、栄養補給などを行うため入学当初から母親の皇世さんが学校に付き添っていましたが、途中からは週3回、学校看護師が加わり、校内活動をサポートしました。
「楓真君おはよう!」
「楓真君の手あったかい」
そして、6年生。最後の運動会では。借り物競争で自分で、車いすを操作し初めて、自らの力だけでゴール!
※走り終えて母近づく(拍手)「お~やったよ本当!全部やったよ!」先生「ばっちりです100点でした」
6年で身長は20センチ以上、体重も16キロ成長。今ではしっかり目を見て意思表示ができるようになりました。
【卒業の日】
迎えたきょうの卒業式。
今井先生:
「山本楓真」
楓真くんが手元のボタンに触れると…
「はい」
楓真くんの代わりにお兄さんの声で返事が出来ました。
小学校生活最後の瞬間を、母・皇世さんも見守ります。
「ここはかけがえのない場所、大切な仲間と出会った場所」
そして、最後のホームルーム。
今井先生:
「もらったよ。味生小、卒業おめでとう」
担任の今井先生から楓真君へ。
今井先生:
「2枚くらいで収まるかなと思ったら、買ったやつ全部使っちゃったのよ」
先生が手紙を読もうとしたその時でした。
「泣きよる。何の涙なん?」
今井先生:
「特別支援学級の経験もない自分が楓真君の担任としてふさわしいのかという不安だらけでした。時にはまあまあ厳しく叱ったり長々と説教もしたりしました。けど楓真君はちゃんと先生の思いに気付いて目をばっちり合わせて聞いてくれましたね。これができるだけで、相手があなたの思いをはっきりわかってくれる。君の世界は広がると思います。先生はあなたを忘れません」
そして…
今井先生:
「みんなは家族で一つ作るんですけど、楓真はまずお母さんに一つ作りたいと。って言ったんだよね。渡すよ!どうぞー」
「ありがとう」
「言葉考えてね」
「よく頑張ったね」
家族にも…
(お父さんが見て涙)
母・皇世さん
「本人の頑張りに私がすごく勇気づけられた。これから先いろんなことがあると思うけど今の楓真やったら乗り越えていけるなと言うところはあります」
ふうまくん、小学校での大切な思い出を胸に。“中学校へ行っても成長できるようにがんばります”