【特集】「逃げ場がない」志賀原発からの避難経路が寸断 能登半島地震 もしもの時、原発からの避難は

石川県には新潟県にある柏崎刈羽原発と同じように運転を停止している原発があります。
寸断された道路に、押し寄せる津波…もしものときに、どう避難するのか…。
住民からは「逃げ場がない」と不安な声が聞こえてきました。
(取材:TeNYテレビ新潟 報道記者 田中利奈)
ことし3月中旬の能登半島。
元日の地震からまもなく3か月を迎えようとしていましたが、建物は倒壊したまま。断水が解消されていない地域もありました。
記者リポート
「道路の損傷が激しく、現在は通行ができないため、このように迂回路が設けられています」
多くの道路が寸断され、避難する上で大きな問題となっており、石川県の中心部に位置する志賀町でも不安が広がっていました。
海と山に囲まれた自然豊かな志賀町ですが、実は原発を保有するまちでもあります。
石川県唯一の原発です。
2基を備える北陸電力の志賀原発。東日本大震災があった2011年の定期点検から現在も運転を停止しています。
元日の地震で志賀町は最大震度7を観測。
北陸電力によると1号機の原子炉建屋の地下では震度5強の揺れを観測しましたが原子炉建屋に損傷はなかったといいます。
しかし1号機2号機ともにつなぎ目に亀裂が入るなど一部の機器から油が漏れる不具合が発生。
今回は、深刻な事態には至りませんでしたが、漏れたのがもし放射能だったら……。
近くに住む住民も避難について不安を抱えていました。
志賀町民
「運転が止まってるからよかったなとはすぐ思った。運転していたら福島みたいに事故もおきかねないから」
「あちこち道路が寸断されましたので、まずもって道路での避難は無理。改めて怖い」
課題となる原発事故が発生したときの避難経路……。
志賀町福浦港区に住む能崎亮一さんに話を聞きました。
能崎さんは地震当時、区長を務めており地区で行われた避難訓練の責任者を担当していました。
原発のから概ね5キロ圏内に位置する福浦港区。
全壊した住宅も数軒あり、電気は3日間とまり、地震から1か月後にようやく水が使えるようになりました。
地震当時、住民とともに近くの避難所へ逃げた能崎さん。しかし、そこから動くことはできませんでした。
地震当時の区長・能崎亮一さん
「もしも放射能が漏れた場合は我々はここでずっと待っているしかないんだなって、放射能浴びながら待つんかって、そういう話は出ていた」