遠隔で診療する車両を中山間地域で本格運用 酒田市の日本海総合病院が始める
酒田市の日本海総合病院で16日、病院を訪れなくても遠隔で診療することができる車両を使って中山間地域でのオンライン診療を行う「医療MaaS」の本格運用が始まりました。
「医療MaaS」は、医療の分野での移動に関わるサービス=「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略称で、高齢化が進む中山間地域での医療を移動診療車を使った遠隔診療で維持しようというものです。酒田市の日本海総合病院で本格運用が始まった「医療MaaS」は、酒田市の八幡地域と遊佐町の一部で、通院が難しい高齢者宅を看護師を乗せた診療車両が巡回します。
日本海総合病院の八幡診療所と診療車をオンラインで結び、現地にいる看護師が測定し電子カルテに入力した血圧や脈拍などのデータを診療所にいる医師が確認します。医師はモニター画面と音声で患者の顔色や声の調子を確認しながら問診を行いました。
問診「きょうは具合どうですか」「順調です」「血圧は121と81ですねちょうどいいですよ」「はい」
八幡診療所では、月曜と木曜の週に2回、この医療MaaSを活用する方針です。1日当たり4人ほどの診療を想定していて、症状が比較的安定している高血圧の患者などの定期的な診察を行う予定です。
患者の家族は「通院に半日、農繁期の忙しいときは別な日にしてという感じで今だと10分15分でお昼休みにちょっと来てもらう感じですごく楽です」
八幡診療所ではこれまで医師が患者の家を回る訪問診療が行われていましたが、広い地域に点在する患者の家を移動するのに時間が掛かっていました。
「医療MaaS」では、医師は診療所の中にいるため、これまで移動に割かれていた時間を外来診療に充てることもできるというメリットもあります。
担当する医師は「電話などに比べると顔色も分かるし、痛むところを触ってもらうことも出来るので、非常に対面診療に近いところまで来ていると思う」
日本海総合病院では今後、この「医療MaaS」の活用地域を広げていきたいとして、患者の通院の負担が減るだけでなく、医師不足に悩む地方の医療体制維持にも期待がかかります。