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【箱根駅伝】順天堂大学 熱き主将・西澤侑真を支えた"元ランナー"の存在

2022年12月30日 6:01
【箱根駅伝】順天堂大学 熱き主将・西澤侑真を支えた"元ランナー"の存在
最後の箱根駅伝に臨む、順天堂大学主将の西澤侑真選手(右)と、主務の曽波祐我さん(左)
第98回箱根駅伝で総合2位となり、名門復活へ確かな力を示した順天堂大学。

大会翌日の1月4日、陸上競技部は新主将のもと、新たなスタートを切りました。

新チームの主将を任されることとなったのは、西澤侑真選手。

練習では厳しい言葉で熱くチームをけん引する一方で、求められるキャプテンとしての走りに悩む日々。そんな西澤選手に寄り添ってくれたのは、4年間苦楽を共にしたマネジャーでした。

■『まだ走りたい』箱根駅伝への思いを強くさせたのは、仲間の"マネジャー転向"

2019年、兄の背中を追い順天堂大学に入学した西澤選手。当時の目標設定シートには「三大駅伝三冠」と記していました。

西澤「最初はこうなったらいいなという冗談もありながら、4年生になって三冠しよう、箱根駅伝総合優勝しようという話は何回もしてきました」

西澤選手は1年生から箱根駅伝に出場。3年連続の出場となった98回大会では、復路の重要区間7区を任され、チームの総合2位に貢献しました。

4年間抱き続けた三冠への思いは強く、主将として時にはチームメートを厳しい言葉で鼓舞することもありました。

西澤「嫌われる勇気を持って、厳しい言葉掛けをすると決めてキャプテンを始めましたし、言った分、自分もできなくちゃいけないですし」

掲げた目標の大きさを理解しているからこそ、周りにもそして自分にも厳しい姿勢を見せていました。

そんな熱き主将を後ろから支えていたのが、チームの主務を務める曽波祐我(そなみゆうが)さんです。

曽波「(西澤選手は)根が真面目で熱い人なので、こぼれそうな人とか下級生とか、僕も助言しながら、チームを一つにしています」

実は曽波さんも活躍を期待された選手の一人でした。2年生でトップチームの強化合宿に選ばれるほどの実力もありましたが、その合宿で膝を負傷。3か月以上走れない日々を送ることになってしまいました。

さらにこの時期、チームで話し合われていたのはマネジャーの選出。順天堂大学には、選手の中からマネジャーを出す伝統があり、その期限が迫っていました。

曽波さんは「話し合いの中で僕の名前が出るたびに、『まだ走りたいし、ずっと箱根走りたいからマネジャーをやる気にはならない』と(思っていました)。ただ11月末にほぼ満場一致で僕にやってほしいと言われて。ここまで信用してもらってお願いされているのであれば、チームのためにもやろうかなという気持ちで」とマネジャー転向を決めた理由を話しました。

「僕たちは(曽波さんの)選手生命を絶たせてしまうわけなので、主務として最後箱根駅伝で胴上げしようと目標に掲げました」と語った西澤選手。箱根駅伝への思いをさらに強くさせるきっかけになりました。

■ついえた"三冠" 曽波さんの言葉で取り戻したキャプテンの走り

三冠へ向け挑んだ10月の出雲駅伝。順天堂大学は序盤、好位置でレースを進めますが、次第に先頭との差が開いていく展開になります。

5区を任された西澤選手は、アンカーへ望みを繋ぐため前を追いましたが、順位をひとつ落としてのタスキリレー。

大会の結果は5位となり、掲げてきた学生駅伝三冠の夢はついえました。

西澤選手の走りに、長門俊介駅伝監督は「正直に言って勝つチームのキャプテンの走りじゃなかった。他のチームのキャプテンはすごかった。本当に三冠したい、勝ちたいと思うんだったら、もっと強い姿勢を走りで見せないと」と厳しく指摘しました。

西澤選手に重くのしかかった監督の言葉。落ち込む西澤選手を間近で見ていた曽波さんは、西澤選手にある言葉をかけました。

西澤「『監督から強く言われるのは期待の裏返しだから、しっかり全日本と箱根で頑張ろう』と(曽波さんに)言われました。一緒にチームを引っ張ってきたということもありますし、しっかり切り替えなきゃなという気持ちになりました」

西澤選手の真面目さを知っている曽波さんだからこそ、気持ちの切り替えに必要な言葉をかけることができました。

そして11月の全日本大学駅伝。そこには果敢に前を追うキャプテン・西澤選手の姿がありました。

チームは4位と優勝を逃しましたが、西澤選手は順位を3つ上げる走りで6区区間新記録をマークし、キャプテンとしてチームを鼓舞する走りを見せました。

長門駅伝監督も「流れが断ち切れそうになったところを、さすが4年生だな、キャプテンだなと」と評価しました。

そして迎える最後の箱根駅伝へ、キャプテンに迷いはありません。

西澤「やっぱ箱根だけは譲れない。区間賞をしっかりとって、それプラス総合優勝。金メダルを曽波にプレゼント出来たらいいかなと思います」

キャプテンとしての走りを。そして曽波さんに胴上げを。西澤選手は4年生で挑む最後の箱根駅伝へ向かいます。

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