×

血統か、実績か!? 新人王を制するのは?元世界王者輪島功一さんの孫・磯谷大心が新人王に挑む

2022年10月6日 20:22
血統か、実績か!? 新人王を制するのは?元世界王者輪島功一さんの孫・磯谷大心が新人王に挑む
元世界王者輪島功一さんの孫・磯谷大心選手(左)と元国体王者・松野晃汰選手(右)
◇第79回ボクシング東日本新人王決勝戦記者会見(6日、都内)

血統か、実績か。勝った方が間違いなくボクシング界の次世代スターへの切符を手にする、新人王史上に残る注目の一戦がついに実現します。

今年79回目を数える歴史ある大会、ボクシング東日本新人王決勝戦、今年は11月3日(木祝)に東京・後楽園ホールで行われます。6日には決勝進出を決めた12階級24選手がズラリと顔をそろえた、豪華な記者会見が都内で開かれました。

注目は、12階級中11番目の「セミファイナル」にセットされた、ウエルター級決勝戦。磯谷大心選手と松野晃汰選手、ともに21歳のふたりが東日本新人王の座をかけて激突します。

会見終了後、メディアが真っ先に、そして一斉に取り囲んだのは、この2選手。なぜこのカードがこれほど注目されるのかは、磯谷選手182cm、 松野選手183cmという、互いにひときわ目をひく身長以上の理由があります。

血統。今大会、この言葉が磯谷選手以上にふさわしい選手はいません。祖父は、炎の男の異名をとった元世界WBA、WBC世界スーパーウエルター級王者・輪島功一さん。父も元日本ランカー・磯谷和広さん。その指導と寵愛(ちょうあい)を受けて昨年10月に1回わずか83秒でTKOデビュー。リングサイドで見守った元世界王者の祖父が「完ぺきすぎて面白くねえ」と口にしたほどの鮮烈デビューを果たすと、9月26日に行われた東日本新人王準決勝も1回わずか96秒でTKO勝ち。ここまで4戦4勝4KO、そのうち3試合が1ラウンドKOという、圧倒的な強さで決勝まで登り詰めてきました。しかも強さだけでなく、高身長に加えて、モデルの仕事も舞い込むほどの端正なルックス。これ以上ないほどのスター性を兼ね備えた磯谷選手はしかし、会見で「たたきあげがエリートを倒すところを見せたい」と内に秘めた反骨心を一気にはき出しました。

抜群の血統を誇る男から意外な反骨心を引き出したのは、目の前の相手が突出した成績を誇るアマ出身者だから。対戦相手の松野選手は、年齢も同じ21歳、身長も1cm差と似たもの同士に見えながらその実、アマチュア戦績23戦17勝(5KO)6敗、何より宮崎・日章学園高時代に国体で優勝したという実績が光るアマチュアエリートです。ボクシング一家に生まれながら埼玉・正智深谷高校で3年生までGKとしてサッカーに打ち込み、祖父でも父でもなく「(漫画の)グラップラー刃牙を見て」ボクシングを始めたのは高校3年の冬。アマチュアを一切経験せずにプロの世界に飛び込んだ磯谷選手からみたら、決勝戦は「キャリアのある相手に勝てば自分の実力も認めてもらえると思う」という、血統からも、4連続KO中という戦績からも想像できないほどの下克上精神でリングに上がろうとしています。

迎え撃つ松野選手も、強敵を前に「こんなに名前のある相手と戦えるのは感謝です。しっかり倒しにいきたい」と腕ぶしています。9月27日の東日本新人王準決勝では、元インターハイ王者の山本諒真選手に1回TKO勝ち。「国体王者対インターハイ王者」として注目された試合を制して試合後には「ホッとしました」と目に涙を浮かべましたが、その時にはまだ「(磯谷選手のことは)知らなかった」と言います。「磯谷選手のことを知ったのは、準決勝の試合後、帰りにエレベーターを待っていた時。よろしくお願いします、と声をかけられて握手しました」といいます。「決勝戦は注目されると思いますし、お客さんにいい試合だったと思ってもらえるような試合がしたいですね」と、大きな獲物をステッピングストーンとしようとする野心たっぷりです。

そんなアマ戦績十分のエリートを前に、磯谷選手はこう言います。「アマチュア戦績がないたたき上げでも、伊藤雅雪さんのように勝てば世界王者になれるのがこの世界。目標は世界チャンピオン。理想はパンチをもらわずに倒しきる井上尚弥選手です」。アマ経験のない最強の血統か、元国体王者のアマチュアエリートか。勝者には、間違いなく、まばゆいばかりのスターへの階段が待っています。

◇第79回ボクシング東日本新人王決勝戦◇
CS放送日テレジータス 11月3日(木祝) ごご2時~8時まで完全生中継