内村航平の助言で…北園奇跡の五輪代表入り
6月6日。体操男子団体、東京五輪“最後の1枠”を勝ち取ったのが北園丈琉選手。チーム最年少の18歳。
実は2か月前の全日本選手権で大ケガ。人生最大の試練を救ったのはある選手の言葉でした。
北園丈琉選手(以下、北園)
「どん底のときにも助けてもらったのが(内村)航平さん」
北園選手が小さい頃から憧れたレジェンド・内村航平選手。中学2年生のとき、日本代表合宿に最年少で参加したときには、初めてアドバイスをもらいました。
内村航平選手(以下、内村)
「可愛かったんで、すごく教えちゃいました。基本がすごくしっかりしているのと、すごいことをやりすぎでしょ。五輪に出て一緒に戦いたい」
すると高校1年生で出場した2018年のユース五輪。つま先まで伸びた美しい演技でユース五輪史上最多の5つの金メダルを獲得。“内村2世”と呼ばれるようになります。
北園
「内村選手とかが築いてきた『日本の体操は美しい』という伝統を僕も受け継いで頑張ろうと思っている。東京(五輪)は絶対に出たいと思った」
このときから3年、東京五輪を目指して挑んだ4月の全日本選手権でまさかのアクシデントが。鉄棒の演技中に落下し、両腕の靱帯を損傷します。
北園
「肘がグラングランで緩すぎる感じがして、もうできる痛みじゃないってそこで気付いた感じです。五輪とかじゃなくて、体操がちょっと嫌いになりそうで。なんなら体操もやめたいなっていう思いがあった」
そんなどん底の北園選手を救ったのは憧れの内村選手でした。
北園
「内村さんから電話をもらったんです。ケガをして3日後くらいにいきなり電話が来て『大丈夫?気持ちを切らさなかったら絶対に戻ってこられる』という言葉をもらって。そのときは、気持ちはほぼ折れていたんですけど、頑張ろうと思いました」
そして、6日の五輪最終選考会。内村が見守る中、最終種目の鉄棒。最後の着地をぴたりと止め、本人も満足の演技で終えました。大ケガから2か月、奇跡の東京五輪代表入り。内村選手とともに夢の舞台へ向かいます。
北園
「(内村選手と)一緒に五輪に行きたかったので、そこがかなったっていうのがまずうれしいです。どん底のときにも助けてもらったのが航平さんなので、ヒーローみたいな感じですかね。感謝ですね」
内村
「僕が電話したからどうとかいうよりは、あいつの立て直しの力でしかないと思います。丈琉のことをよく“内村2世”と言うじゃないですか?北園丈琉は北園丈琉なので、あまりプレッシャーをかけないでほしい。“内村2世”を使っていいのはうちの子供だけですからね(笑い)」
写真:松尾/アフロスポーツ