思わずほっこり・・・北京五輪でメダルと同様に輝いた“選手らの振る舞い”
熱狂の内にまもなく幕が閉じられようとしている北京五輪。激しく競い合う選手たちに注目が集まりました。一方で、同じ目標に向かったライバルと国境を超えてたたえ合う心温まるシーンも。選手やスタッフの知られざる北京五輪エピソードを発掘しました。
■待ち続ける金メダリスト
1つ目のエピソードはノルディックスキー距離男子15キロクラシカルから。
この競技はコースに掘られた2本の溝の上を滑り、ゴールタイムを競います。心温まるエピソードは、1位の選手がゴールしたあとに起きました。
金メダルに輝いたのはフィンランド代表のニスカネン選手。競技を終えた選手は通常、順次フィニッシュエリアを離れていきます。ところがニスカネン選手、その場を離れません。残る選手は棄権した選手をのぞいて94人、その全員がゴールするまで待ち続けたのです。
競技後の記者会見でニスカネン選手は「すべてのアスリートはお互いを尊重しなければならない。誰もがこの場に立つために懸命に働いてきたのだから」と述べました。
この行動に、国際オリンピック委員会はTwitterに当時の写真を投稿し、ニスカネン選手の行動をたたえました。
■金メダルの立役者は対戦国のスタッフ?
続いてのエピソードはバイアスロン混合リレーから。
この競技は男女2人ずつが1チームでスキーと射撃を行う混合種目です。今回、金メダルに輝いたのはノルウェー代表チーム。この結果を導く上で欠かせなかったのはなんと対戦国のスタッフの“ある行動”でした。
ノルウェーの第一走、ルイセランド選手にアクシデントが起きました。銃に装備されている「照準器」をコース内に落としてしまったのです。「照準器」は正確な射撃をするために必要不可欠なものですが、小さいもので、ルイセランド選手は気づいていませんでした。
この事態からノルウェー代表を救ったのは対戦相手のスロベニア代表チームでした。スロベニアのチームスタッフが雪の中に落ちていた照準器を発見、ノルウェー側にすぐに伝えたのです。
競技後、ルイセランド選手は自身のSNSで「私がなくした大事な“武器”を見つけてくれて感謝します。真のヒーローはあなたです」と感謝を綴りました。
■表彰台で天に向かって投げキス・・・その理由は
3つ目のエピソードはスピードスケート、ショートトラック女子3000mリレーから。
オリンピックレコードをマークして金メダルを獲得したオランダ代表チーム。競技後のセレモニーで表彰台に上がると、選手たちが天に向かって投げキスを行いました。
このキス、2018年の平昌五輪で銅メダルを獲得し、その2年後の2020年に27歳の若さでこの世を去ったオランダ代表選手に捧げられたものでした。
今回の優勝メンバーは「私たちはこの勝利を彼女に捧げます。彼女はいつも私たちの心の中にいて、今も一緒にいてくれていると思っています」「彼女はとても特別な存在です。彼女がここにいないのはとても悲しいですが、彼女も本当に誇りに思ってくれていると思います」と話しています。
大会も残すところあとわずか。選手たちの熱いプレーに加えて、心温まるエピソードにも注目です。