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西日本豪雨で浸水…住宅エリアが復興公園「どすこいパーク」に 住民たちが込める願い

2024年3月15日 18:35
西日本豪雨で浸水…住宅エリアが復興公園「どすこいパーク」に 住民たちが込める願い
西予市野村町に誕生する「どすこいパーク」

6年前の西日本豪雨で被災した西予市野村町の肱川沿いに復興公園の一部が完成し、17日オープンします。

2018年の西日本豪雨で肱川の氾濫により浸水したこの場所は、当時、一帯が約5メートル水に浸かりました。

野村町では、豪雨の翌年から住民などがワークショップを行い、安心で安全、かつ野村らしいまちの活性化を目指し話し合いが行われ、その中で、住宅などが移転した後の跡地の活用法として肱川沿いおよそ400mに渡るエリアに復興公園を作る計画が進められてきました。

名前は「どすこいパーク」相撲の街ならではのネーミングです。肱川を挟んで大きく4つのエリアがあり、今回 “自然と憩いのエリア”が完成しました。

こちらは豪雨1か月後に撮影したものです。当時、浸水し片付け作業などが行われていた家々が立ち並んでいたエリアは今、一帯が公園へと姿を変えました。

公園には、野村小学校の5.6年生が肱川の支流の石を使って“どすこい7.7”と記したモニュメントを設置し、遊具が並ぶ遊びの広場や高さ3mの丘に桜を植樹したさくらの丘などが整備されました。

災害の教訓を後世に伝えていく拠点として

オープニングイベントはこの週末に行われますが、13日に一足早く報道機関向けの内覧会がありました。

復興公園の担当をしている西予市の和気伸二さんです。

Q.このエリアの特徴は?
「ここは平成30年7月の豪雨災害で甚大な被害を受けました。もう一度明るく元気な野村町を取り戻す。また、災害の教訓を後世に伝え、自分たちの命を守る拠点にしていこうということで、小学生からご高齢の方まで多くの方が想いを込めて考えた夢のある広場です」

また、ここは災害時の活動拠点にもなります。

設置されているベンチは、有事の際、「かまど」として利用することができます。

週末に行われるオープニングイベントでは、このかまどベンチを使ってちゃんこ鍋を販売します。

西日本豪雨から5年8か月…この場所で暮らしていた夢望さんは

今回完成したどすこいパーク、このエリアには豪雨前およそ20軒の家がありました。そのうちの1軒には、家族と暮らしていた女の子がいます。

越智夢望さん。夢望さんの自宅はかつて、肱川沿いのこの場所にありました。

2018年7月の西日本豪雨。豪雨後、ドローンで野村町を撮影した時の映像です。野村町中心部を流れる肱川が氾濫、画面右側の、ここが夢望さんの家です。

自宅は2階の天井近くまで水に浸かりました。

母・裕美さん:
「片付けだけして。あとは何も考えられないです」

当時小学5年生だった夢望さん、一家4人は無事でしたが、家には住めなくなり、学校の体育館、仮設住宅での生活を余儀なくされました。

【2018年9月】
思い出が詰まった家の中は…からっぽに。

母・裕美さん:
「住めないだろうな~子ども達に落書きでもさせようかな。壊す前に」

「7月7日。何もなくなりましたね」

また、被害に遭うかもしれない…越智さん一家は、住み慣れたこの場所には戻らないことを決めました。

解体前、家の壁に思い出を描いていきます。ここに確かにあった日常。

兄:「時計?」
夢望さん:「いけん?」
兄:「いやいいよ」
夢望さん:「これだってみんなが出た時間やもん」

夢望さんが描いたのは1番好きな青色の、ひまわり。

時計はあの日、この家から避難した6時20分を指していました。

【2018年11月】
豪雨から4か月後、家の解体工事が始まり、肱川沿いにあった家は無くなりました。

母:「今年は、家族みんなが元気ならいいね」

【2021年6月】
越智さん一家は、およそ3年の仮設住宅での生活の後、川から離れた高台に新居を建て新たな生活を始めました。

新居での生活にワクワクする一方で、この時、夢望さんは以前の家についてこんな思いを語っていました。

夢望さん:
「自分が生まれ育った家が無くなって悲しかった。悲しい顔してるよりは笑顔の方が楽しいし、寂しいような気持ちでおるよりかは元気で遊んでた方が絶対に楽しい」

西日本豪雨から5年8か月。夢望さんが大好きだったこの場所は、野村の人たちの笑顔が集う場へと生まれ変わろうとしています。

17日(日)「オープニングイベントinどすこいパーク」開催

完成したばかりの「どすこいパーク」内にある「さくらの丘」には、桜の木が植えられています。このすぐそばに家があった、越智夢望さんです。

Q.もともと家があった場所が、公園に生まれ変わりました。どんなお気持ちですか?
夢望さん:
「もともと家がたくさんあったのをずっと見てきてたので、一気に公園に生まれ変わって、ここで子どもたちがいっぱい遊んでくれるのを思い浮かべると、良い空間になるんじゃないかなと。すごいなと思っています本当に」

Q.どんな場所になってほしい?
「色んな人がここにきて遊んだり、休憩とか散歩をしたり、沢山の人が集まって賑やかになってくれたら嬉しいと思います。私も友達と一緒に来て遊びたいです」

どすこいパーク、「自然と憩いのエリア」のオープニングイベントがこの週末行われます。

西予復興支援室 和氣伸二室長:
「メインイベントとして、復興応援ソング・野村のうたを皆で合唱します。野村町に縁のあるアーティストがたくさん参加してくれます。キッチンカーの出店もありますので、市民手作りのイベントですが、ご来場お待ちしております」

詳しくは西予市のHPでも確認できます。

他のエリアについても順次整備され、令和7年度以降の完成を目指しているということです。