都心の新たな地震リスク 高層マンションで地震に備える――住人は飲料水背負って43階へ
7月31日から8月6日までの期間、国内で震度1以上の地震が26回ありました。最大震度は2で、関東や東北地方、石川の能登地方などで小さな地震がありました。
東京都は昨年10年ぶりに首都直下地震の被害想定を見直しました。都心南部を震源とするマグニチュード7.3の大地震がおきた場合、23区のおよそ6割の地域で震度6強の激しい揺れに見舞われます。最悪の場合、死者は6148人、建物被害は19万4431棟にのぼるとされています。そんな中、東京都内では高さ45メートル以上の建築物が急増しています。2010年度は2481棟でしたが、これが2020年度は3558棟に増加しました。高層ビルでは地震によるエレベーターの停止によって、けが人などの救助が難しくなり、食料などの物資の運搬も困難になることが考えられます。
東京・中央区の隅田川沿いに建つ43階建ての超高層マンションでおこなわれた防災訓練では、住人が24リットルの飲料水を入れたリュックを背負って階段を上りました。地震によって高層マンションのエレベーターが使えなくなったことを想定したものです。
参加した住人は――
「(訓練で)1回やっておけば心の準備ができるのが大きい。上限を知っておくことで心の余裕が持てるのかな」
マンションの管理会社の担当者―
「エレベーターとか止まった場合とか、階段を上り下りしないといけないのも普段あまり意識されていない。少しでも意識を高めてもらえれば」
訓練が行われたマンションは、賃貸住宅ということで住人の入れ替わりも多いそうです。こうした訓練をイベントのように開催して、住人同士の連携を強めて災害に強いマンションにしたいと管理する会社は話しています。
地震の専門家で環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、都心の地震では避難所不足が深刻になると指摘しています。可能な限り在宅避難を続けられるよう、食料や飲料、携帯用トイレなどの備蓄を最低3日分、可能であれば1週間分おこなってほしいとしています。防災の日を前に家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。