【箱根駅伝】早稲田大 4年生が1年生のマッサージも 上下関係を超えたチームワークで6年ぶりの表彰台へ
■「チャンスがあれば往路優勝」 キーパーソンは3人
8月、新潟県妙高市にて合宿を行った早稲田大学。監督就任後2度目の箱根駅伝において、花田勝彦駅伝監督がキーパーソンに挙げたのは石塚陽士(はると)選手(3年)、伊藤大志選手(3年)、山口智規選手(2年)の3人です。
中でも石塚選手は今季1万mで27分58秒53を記録。トップランナーの称号である27分台に突入しました。石塚選手は「学生トップランナーの一種のステータスはやっぱり27分台。それがゴールじゃなくてエースになるためのスタートに立てたと思っている。そこからどう戦っていくかが今後の自分の真価が問われるところ」と、さらに上を見据えます。
前回大会、早稲田大学は予選会からの出場で総合6位。第98回大会では13位に沈みましたが、花田駅伝監督の箱根駅伝初陣でシード圏内に返り咲きました。記念すべき第100回大会の展望として、花田駅伝監督は「1区・2区・3区、石塚、伊藤、山口の3人が往路でいかに他大学と勝負できるか。チャンスがあれば往路優勝を狙いたい」と語ります。
■「起爆剤」の1年生ランナー・工藤慎作 区間賞に意欲
注目は、キーパーソンの3選手だけではありません。1年生では唯一、出雲駅伝、全日本大学駅伝どちらにも出場した工藤慎作選手の箱根駅伝初出場にも期待がかかります。
各自の状態に合わせて、選手自らが距離を選んでロードを走る練習では、先頭を引っ張って30キロを走りきった工藤選手。「駅伝やトラックでスタートラインに立った時は早稲田大学の工藤慎作であって、1年生だからどうというのは関係ないかなと思っています」。強い先輩が相手でも、一歩も引かない姿勢に上級生も刺激をもらっているようで、伊藤選手は「(工藤は)1年生ということを抜きにしてもチームにとって大事な起爆剤。主力にあとちょっとで絡めるという人たちへのいい発奮材料になってくれたら」と、工藤選手を評価しました。
また、工藤選手は「区間賞は狙っていきたいですし、優勝も狙えると思うので、そこに貢献したい」と結果にもこだわります。
花田駅伝監督は「ぱっと見た目では決して足が速そうには見えないんですけれど、走ってみたらめちゃめちゃ強い。この4年間でいずれ出てくると思いますけれど、非常に上りが強いので、早稲田が優勝するカギになる選手になるんじゃないか」と工藤選手の今後の成長を楽しみにしている様子でした。
■強みはチームワーク 上下関係を超えた仲の良さ
「僕らの学年の特徴はしっかり縦も見られるというか、後輩にも積極的に声をかけられるやつが多い」
そう菖蒲敦司駅伝主将(4年)が語るように、早稲田大学の強みは上下の関係を超えたチームワークです。夏合宿では、練習後に1年生の足を2人がかりでマッサージする4年生や、食事中に和気あいあいと話す選手たちの姿が見られました。
しかし単に仲が良いだけでなく、「よりチームの結束が高まって、目的に向かってみんなでやっていこうという雰囲気」があると語る花田駅伝監督。「最終的には箱根駅伝というのが一番チームとしては大きな目標なので、皆さんがワクワクするようなレースをしたい」と、6年ぶりの表彰台、そして往路優勝に向けて意気込んでいます。