【特集】新潟初!18歳の高校生がプロ選手に 総合格闘技「修斗」でトップを目指す若き格闘家の素顔《新潟》

打撃や寝技などを組み合わせた総合格闘技の「修斗(しゅうと)」で、高校生としては県内で初めてプロ選手が誕生しました。
さまざまな悔しさをバネに積み重ねてきた努力。若き格闘家の素顔とは……そして、見据える目標に迫ります。
鋭い打撃に、寝技も……あらゆる攻撃手段が認められる総合格闘技「修斗」です。新潟市内のジムに通う斎藤大樹さん(18)。現役高校生としては県内で初めてプロになりました。
<斎藤大樹さん>
「全部できて強いやつが最強だと思ってたんで、もし格闘技やるんだったら最強になりたいなと思って」
リングの上で打撃、投げ技、関節技などを組み合わせて戦う「修斗」。初代タイガーマスクとして知られる佐山聡が競技化した日本生まれの総合格闘技ですが、今やアメリカや韓国など世界各国にも普及し、競技人口はプロ・アマ合わせて国内に約8000人います。
大樹さんは新発田市内の高校から、電車で江南区にあるジムに通います。
<斎藤大樹さん>
「直前くらいまではもうだるいなーっていうか、この本当ジムに行く道でスパって切り替える感じですね。練習やるか今日もっていう……こうやると格闘家やってんなって感じ、バンテージまいていると」
ひとたびジムに入るとその表情は高校生から、格闘家に。下は5歳、上は71歳までが通うジム。週6日、ここでトレーニングを重ねています。
村上市の旧山北町出身。外遊びが好きな少年でした。格闘技と出会ったのは小学生の時。テレビで見た迫力ある戦いに魅了されました。
<斎藤大樹さん>
「刺激的だなっていう、観てるのもそうですし、自分がもしやるとしても刺激的な競技だろうなってそこに惹かれましたね。普通のスポーツとは違う感覚を感じました」
高校生になると現在のジムに入門。学業と両立しながら本格的に格闘家への道を歩み始めました。デビュー戦は高校1年生の夏。
<試合の実況>
「大会最年少……修斗歴が2か月」
「本当に16歳と17歳ですか。……打ち負けていない!」
格闘技を始めてわずか2か月、初めてリングに上がりました。
しかし……。
<斎藤大樹さん>
「自信はありましたね、でも実際にやってみると有名でもない選手にボコボコにされたりとかしたんで、そこは甘くないなって入った時に感じた」
人生で初めて味わったという敗北感。この時の悔しさが厳しいトレーニングに励む糧になっています。
<大樹さんのジム仲間>
「落ち着いているタイプなので心の中にはアツいものを持ちつつも、冷静に戦える選手だなと」
「負けて腐らず芯が強い。人の心を動かす、人の心に打つ選手なのでどんどん活躍してもらいたいと思います」
毎年およそ1000人が挑むプロへの道。地区大会を勝ち上がり、全日本選手権で優勝または準優勝するとプロへの昇格が決まります。
大樹さんは2024年10月、初めて全日本の舞台へ。勝てば、プロ昇格が決まる準決勝。見事、判定勝ちでプロ昇格を決めました。
<斎藤大樹さん>
「高校生のうちにプロになりたいというのはずっと思っていたので、その目標が達成できたのはうれしかったですけど、決勝であっけなく負けてるんで。そこで勝ってからの景色が見たかった」
大樹さんの強みは、すばやいスピードで繰り出す打撃。もちろん、それだけではありません。
大樹さんを指導してきたジムの代表、風田陣さんです。格闘技に向き合う姿勢を高く評価しています。
<風田陣さん>
「ほんと素直、それは格闘家にとって一番大事なとこで、考えて練習してますね。ただ何となく練習するんじゃなくて技に関しても考えながらやってるなって感じします。とりあえず同じことを繰り返し繰り返し1時間でも2時間でもやるっていう。大樹はその辺ずっとやるんで練習……」
ことし2月から始めたひとり暮らし。3月で高校を卒業し、春には新潟市内の大学に進学します。
<斎藤大樹さん>
「きのう作って鶏肉を塩こうじ入れて低温調理で鶏ハム作った」
祖母に教わったという料理。プロデビュー戦を前に減量中。この日のメニューはタンパク質たっぷりのオリジナルどんぶりです。
<斎藤大樹さん>
Q)目標にしてる選手とかいるんですか?
「朝倉兄弟の朝倉海選手とか、日本であんだけ熱狂させられてすごいですよね。他のただ強いだけの選手と違うんで。ある程度有名な選手を越せるくらいにはなりたいっすよね」
多くの時間を格闘技に費やす日々……。
<お店の人>
「いらっしゃいませ」
<斎藤大樹さん>
「そっちに試合のポスター貼ってもらってるんで、一応スポンサーになってもらって貼ってもらってます」
この日は貴重なオフの時間……友人とランチに訪れました。
<大樹さんの友人>
「(試合中の大樹さんは)目つきが変わるっていうか、めっちゃなんか優しい目つきなんですけど、試合やるとなんか野獣みたいな……」
実は、高校時代にアルバイトをしていた飲食店。地元から誕生したプロの格闘家に少しずつですが、期待の声もかかるようになりました。
<お店の人>
「減量中か、かわいそうだね、(試合が)終わったらおいで」
「すごい気の利く子で一回言うとね、必ずやったもんね。ソフトクリームも上手なんよ?」「好きなことをやれと、なんでもね若いうちだもん。期待しております」
店内のお客さんにも大樹さんをアピール!
<お店の人>
「すみません、今度格闘技に出る子なんで応援してやってください」
プロとしてのデビュー戦は4月27日。トレーニングは追い込みに入っています。この日は実戦を想定した練習試合。相手に選んだのは打撃力で自分を上回る選手です。
<斎藤大樹さん>
「やっぱ危ない選手2人なんで、毎回が試合みたいな感じで悔しいですよね。気持ちですね、まだまだ弱いなっていう」
小学生で出会った総合格闘技。夢だったプロの舞台に立つ日が目の前まで近づいています。
<斎藤大樹さん>
「楽しみってのが大きいですね。周りに観客の人もいるのでただ試合するだけじゃなくて“魅せる、倒しに行く姿勢とかそういった姿勢も楽しませに行く試合をしないとなという感じですね。やっぱ日本のトップ選手になりたいってのはあるっすね」
若干18歳で踏み出すプロとしての第1歩。地元の期待を背にリングへと上がります。