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【伊藤遼の声優 一答遼談】人気声優・石川由依「1だけでも知っておきたい」 “声だけで感情を伝える” ために必要なこと

2022年11月25日 13:45
【伊藤遼の声優 一答遼談】人気声優・石川由依「1だけでも知っておきたい」 “声だけで感情を伝える” ために必要なこと
(左)伊藤遼アナウンサー(右)石川由依さん
人気アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公・ヴァイオレット・エヴァーガーデンや、『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマンなどで知られる、声優の石川由依さん(33)。クールな役から天真らんまんな役まで、幅広いキャラクターを演じる石川さんは、どのようにして声だけで感情を表現しているのか、そして石川さんの考える今の声優業界とは。自他共に認める“アニメ・声優オタク”の私、伊藤遼がお話を聞いてきました。

石川由依さんは1989年、兵庫県生まれ。声優としてテレビアニメなどで活躍する一方、番組ナレーションやゲームのキャラクター声優も務めています。また、音楽劇などの舞台にも出演。2023年、舞台『キングダム』では紫夏役を務めることも決定しています。

様々な感情の引き出しを持ち、抜群の演技力で多くの視聴者を魅了する石川さん。なぜ、声優を目指したのでしょうか?

■声優としてぶつかった壁 『アイカツ!』への出演が転機に

――声優を目指したきっかけはなんですか?

実は小さいときから劇団に入っていまして、舞台とかをやらせていただいていました。アニメの関係者がその舞台を見に来ていて、数年後にアニメのオーディションに呼んでいただいたのをきっかけに、アニメのお仕事をやらせていただくことになりました。(最初は)どんな風にアフレコをしているのかとか、声のお芝居がどんなものなのかも知らずに(声優の世界に)入ってしまったので、最初はわからないことだらけでしたね。マイクが一部屋に4つしかない。でも、1話に出演する人が全員集まって、入れ代わり立ち代わりでアフレコするとか。舞台とは全然違う技術が必要なんだなっていうのは、そこで初めて知りました。


――声優をやっていて大変だったことはありますか?

声優という仕事をたくさんさせていただけるようになってからしばらくは、何が声優という仕事に必要なのかっていうのがわからない時期がすごくあって、がむしゃらにやってはいるんですが、なにかこう腑に落ちないというか、自分ができているのか、できていないのかもわからないっていう時期が一番もやもやしていて、しんどかったですね。


――その苦労をどう乗り越えましたか?

“先輩に演技ってどうやったらうまくなりますか?”とか聞いても、やっぱりわからなくて。そんな中で『アイカツ!』という作品に出演させていただくことが決まりました。その現場は、若手やアフレコが初めてという子たちもたくさんいました。若手と一緒に一から、台本の読み方から全部教えてもらいました。例えば、朝と夜の気持ちの違いとか、走っているときの息づかいとか、細かいことを一つずつ丁寧に教えてもらって、より声優のお仕事が面白いと思うようになってきましたね。

■声優に必要なのは“1でも知っておくこと”

――声優の仕事のどのようなところが一番面白いですか?

演じられるキャラクターが無限大だなって思いますね。舞台だと、容姿だったり年齢だったり、性別とか、そういうことが関係してきてしまうんですけど、声優だったら男女関係なく、人間かどうかとかも関係なく、いろんなキャラクターでいろんな世界を生きられるっていうのが楽しいところですね。


――演じる上で大切にしていることはなんですか?

0だと色々なことが想像できないので、なんでもいいので、少しずつでもいろんなことを経験しておく。1でも知っておけばそこから想像を膨らませていくことができるので。例えば、“死ぬこと”なんて私たちまだ経験していないですけど、死ぬ芝居だってしなきゃいけない。少しでも痛みとか、苦しみとかを知っておけば、想像して死ぬという芝居につながっていけると思うので、なんでも1だけでも知っておきたいっていうのは、常に思っています。

石川さんが演じた中で、難しかったと語るのは11月25日(よる9時~)の金曜ロードショーで放送される『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。作品は感情を持たない主人公、ヴァイオレットが手紙の代筆業を通して、愛を知るまでの成長を描く物語です。

――感情を知らないキャラクターを演じるのに、どのように臨まれましたか?

どうしたら、ヴァイオレットを知ることができるかなって思って、とにかくこれは原作を読むしかないと思って、原作を読んでから挑みました。やっぱり、声優をやっていて、どちらかというと求められるのはいかに感情を表現するか。声に感情をのせるかっていうことを常に追求していたので、逆にそれをリセットするというか、0にもっていくっていうのは難しかったですけれども、しゃべっていてもどこか感情を伴わないようなセリフ回しを追求できたらなと思いながら演じていましたね。

■石川「声優の可能性が広がっている」

――声優人気の現状についてどう思いますか?

昔に比べて、よりたくさんの方にアニメを見ていただける機会が増えました。小学生からおじいちゃん、おばあちゃん世代まで、一緒になって楽しめるものになっているんじゃないかなって。私たち自身もその結果、たくさんの方に知っていただいて、どんどん可能性が広がっているように感じます。それによって舞台の方に進んだり、テレビの方に進出したり、ドラマに挑戦したりする方とか、声優という枠にとらわれずに、声優の可能性が広がっているような気がしますね。たくさんの人に声優になりたいと言ってもらえるのはうれしいですね。

【お話を聞いて一答遼談!(編集後記)】
様々なキャラクターを演じる声優の皆さん。それぞれの感情を声だけで表現しなければいけません。どうしてそんな引き出しがあるのか、答えは石川さんの話す“経験”なのだとわかりました。経験したことから想像する。0からは何も想像できない。とにかく何でも経験してみる大切さを教えていただきました。

優しく温かみのある中にどこか芯のあるお声は、石川さんの声優という職業に対するまっすぐな思いの結晶なのだと感じました。同じ声を使う職業として、表現の幅を広げるべく、何事にも挑戦していこうと思います。

石川さんが演じられたキャラクターの話や、舞台と声優の共通点についても伺っています。ぜひ動画でも“声優・石川由依”の魅力に触れてみてください!

取材:日本テレビ 伊藤遼

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