【秋田県知事選挙特集②】「秋田は第一の故郷」在学中に起業した大阪出身の23歳 新たな道へ
来月6日に投票が行われる秋田県知事選挙に向け、ABS news every.では、秋田が抱える様々な課題を検証していきます。
24日は、先週に引き続き、若者の県内定着についてです。
県内では、毎年多くの若者が県外へ移り住んでいて、人口減少の要因のひとつとなっています。
こうした中、大学在学中に起業して、卒業後も秋田に住み続けることを決めた大阪出身の男性がいます。
秋田が第二の故郷から第一の故郷になろうとしていると話す男性。
その取り組みを取材しました。
大潟村にある、県立大学のキャンパスです。
今月上旬、卒業を控えた学生が、研究室の片付けに追われていました。
竹内大さん
「卒論を出さなあかんってなって、ヒーヒー言ってたときに、ここで夜までやってことは何回かあります。このライトがたまに点かないんですよね。たまに点くし、たまに点かないんですよね」
25日に卒業式を迎える、大阪出身でアグリビジネス学科4年の竹内大さんです。
研究室の仲間の半数が県外への就職を選ぶ中、秋田に残ることを決めました。
竹内大さん
「地元の大阪っていう線はないので、秋田がだんだん第二の故郷から第一の故郷になっていくんじゃないかなっていうふうに僕は思っています」
雪国での暮らしへの憧れや、農業への関心から、県立大学に進学した竹内さん。
生活の拠点は、おととし50万円で買ったキャンピングカーです。
購入のきっかけは、以前乗っていた車の故障と、学生寮の値上げが重なったことでした。
記者
「郵便物はどうしている?」
竹内大さん
「大潟村の農家さんに住所を借りていて、そこに郵便物が届くようになっていまして、たまに荷物が届いたら農家さんの家に行っています。いろんな人に助けてもらって、食いつないでいる感じです」
竹内さんが秋田に残ることを決めた理由のひとつが、2年生の時から続けている、ある事業です。
竹内大さん
「ここで"こめらむね"をいつも作っているところになります」
下岩川地区の診療所だった建物で製造しているのが、こめらむね。
あきたこまちの米粉を使ったラムネ菓子です。
ほろほろした食感と、リンゴの爽やかな香りが特徴で、秋田市の駅ビルや道の駅などで安定した売り上げを保っています。
竹内大さん
「受験シーズン限定の商品を販売させてもらっています。ここに志望校を書いていただいて、プレゼントする人がここに“落ちたら許しません”とでも書いて渡すっていう商品を販売させてもらっています」
「いままで応援されていた身なので、逆に今度は後輩を応援しようっていう考えから出たものになります」
このほか、去年の夏には小さな最中を串に刺した新商品を開発。
イベント会場などで販売を始めると、食べ歩きにぴったりだとして人気を集めています。
斬新な商品を次々に生み出す竹内さん。
ビジネスに取り組む中でよく耳にしていたのが「秋田には何もない」という言葉です。
竹内大さん
「“何にも無いものが有る”っていうんですかね。自然とか農産物とか人の優しさとか、地域独自の文化っていうのがあるので、それが無いところから来た人にとってはすごい無いどころか、めっちゃある地域なんです」
「豊かさの一方で、秋田にはその魅力を形にした商品が少ない」と感じていた竹内さん。
そこで開発したのが、こめらむねでした。
仲間の助けも借りながら、自ら販路を開拓。
補助金のほか、奨学金とアルバイト代で開発費をやりくりしました。
竹内大さん
「農家さん手伝ったときにもらった飲み物と、学校でもらえる果物、自分で買ったものひとつも無いですね」
地元の人たちに支えられた学生生活も残りわずか。
来月からは、新たな一歩を踏み出します。
竹内大さん
「まずは関係人口を増やしていこうっていうところで、小学校でイベントを興して、その地域内の人と地域外の人が交流できる場を作って、下岩川のことを、三種町のことを、知ってもらおうという活動になります」
竹内さんは来月、三種町の地域おこし協力隊に着任します。
町と継続的に関わりを持つ人の数・関係人口を増やすことが大きな目標です。
関係人口が増えれば、移住する人の増加にもつながることが期待されます。
その受け入れには、空き家の活用が必要だと考えた竹内さんは、地域おこし協力隊への着任をきっかけに、自ら空き家に住むことにしました。
取材した日、見学に訪れたのは、下岩川地区にある築60年以上の住宅です。
竹内大さん
「外から見ると狭いかなと思ったんですけど、結構広いですね」
下岩川地区では、4軒に1軒の住宅が空き家となっています。
所有者や相続人が分からず、放置されたままの空き家も少なくありません。
所有者の親戚 近藤竜太郎さん
「貸したいけど貸せないというか、そうやっているうちに古くなってダメになる」
「屋根がつぶれているとか、そういうのがあります。多いです」
こちらの空き家のように、建物に問題が無く、所有者も判明しているケースは珍しいといいます。
竹内大さん
「ぱっと移住者が住める家っていうのはあまり多くない っていうのが現状みたいで、こういった家はすごくレアなケースなんだなというふうに思って、極力、早く誰かが住めるようにした方がいいんじゃないかというふうには思っています」
検討の結果、こことは別の空き家に住むことを決めました。
今後も空き家の実態を把握し、移住者の受け入れ体制の充実につなげたいと考えています。
竹内大さん
「販売サイトを作って、テスト販売みたいな感じで、実際に買ってもらって、どうだったかっていうのを調査したいなと思っている」
地域おこし協力隊に着任後、竹内さんは、三種町の農産物を首都圏に売り出すことを計画しています。
県立大学 泉牧子さん
「下岩川の人方の都会にいる親戚まで調べたんだもんね。そこの人をターゲットにしちゃって、あの人方に三種町のお米、屋農産物をいつ、どういうものができるというのも知らない人じゃなくて、ピンポイントに向かって発信する」
様々な機会を通じて、関係人口を増やしたい考えです。
竹内大さん
「外部から来た人でも、まず三種町に行ったらこんなことがしてみたいとか、こんなことができるっていうのが分かるような、見える化された町にしたいと思っています」
多くの若者が秋田を去る中、大阪からやってきて日々奮闘する竹内さん。
23歳の挑戦は、これからも続きます。
24日は、先週に引き続き、若者の県内定着についてです。
県内では、毎年多くの若者が県外へ移り住んでいて、人口減少の要因のひとつとなっています。
こうした中、大学在学中に起業して、卒業後も秋田に住み続けることを決めた大阪出身の男性がいます。
秋田が第二の故郷から第一の故郷になろうとしていると話す男性。
その取り組みを取材しました。
大潟村にある、県立大学のキャンパスです。
今月上旬、卒業を控えた学生が、研究室の片付けに追われていました。
竹内大さん
「卒論を出さなあかんってなって、ヒーヒー言ってたときに、ここで夜までやってことは何回かあります。このライトがたまに点かないんですよね。たまに点くし、たまに点かないんですよね」
25日に卒業式を迎える、大阪出身でアグリビジネス学科4年の竹内大さんです。
研究室の仲間の半数が県外への就職を選ぶ中、秋田に残ることを決めました。
竹内大さん
「地元の大阪っていう線はないので、秋田がだんだん第二の故郷から第一の故郷になっていくんじゃないかなっていうふうに僕は思っています」
雪国での暮らしへの憧れや、農業への関心から、県立大学に進学した竹内さん。
生活の拠点は、おととし50万円で買ったキャンピングカーです。
購入のきっかけは、以前乗っていた車の故障と、学生寮の値上げが重なったことでした。
記者
「郵便物はどうしている?」
竹内大さん
「大潟村の農家さんに住所を借りていて、そこに郵便物が届くようになっていまして、たまに荷物が届いたら農家さんの家に行っています。いろんな人に助けてもらって、食いつないでいる感じです」
竹内さんが秋田に残ることを決めた理由のひとつが、2年生の時から続けている、ある事業です。
竹内大さん
「ここで"こめらむね"をいつも作っているところになります」
下岩川地区の診療所だった建物で製造しているのが、こめらむね。
あきたこまちの米粉を使ったラムネ菓子です。
ほろほろした食感と、リンゴの爽やかな香りが特徴で、秋田市の駅ビルや道の駅などで安定した売り上げを保っています。
竹内大さん
「受験シーズン限定の商品を販売させてもらっています。ここに志望校を書いていただいて、プレゼントする人がここに“落ちたら許しません”とでも書いて渡すっていう商品を販売させてもらっています」
「いままで応援されていた身なので、逆に今度は後輩を応援しようっていう考えから出たものになります」
このほか、去年の夏には小さな最中を串に刺した新商品を開発。
イベント会場などで販売を始めると、食べ歩きにぴったりだとして人気を集めています。
斬新な商品を次々に生み出す竹内さん。
ビジネスに取り組む中でよく耳にしていたのが「秋田には何もない」という言葉です。
竹内大さん
「“何にも無いものが有る”っていうんですかね。自然とか農産物とか人の優しさとか、地域独自の文化っていうのがあるので、それが無いところから来た人にとってはすごい無いどころか、めっちゃある地域なんです」
「豊かさの一方で、秋田にはその魅力を形にした商品が少ない」と感じていた竹内さん。
そこで開発したのが、こめらむねでした。
仲間の助けも借りながら、自ら販路を開拓。
補助金のほか、奨学金とアルバイト代で開発費をやりくりしました。
竹内大さん
「農家さん手伝ったときにもらった飲み物と、学校でもらえる果物、自分で買ったものひとつも無いですね」
地元の人たちに支えられた学生生活も残りわずか。
来月からは、新たな一歩を踏み出します。
竹内大さん
「まずは関係人口を増やしていこうっていうところで、小学校でイベントを興して、その地域内の人と地域外の人が交流できる場を作って、下岩川のことを、三種町のことを、知ってもらおうという活動になります」
竹内さんは来月、三種町の地域おこし協力隊に着任します。
町と継続的に関わりを持つ人の数・関係人口を増やすことが大きな目標です。
関係人口が増えれば、移住する人の増加にもつながることが期待されます。
その受け入れには、空き家の活用が必要だと考えた竹内さんは、地域おこし協力隊への着任をきっかけに、自ら空き家に住むことにしました。
取材した日、見学に訪れたのは、下岩川地区にある築60年以上の住宅です。
竹内大さん
「外から見ると狭いかなと思ったんですけど、結構広いですね」
下岩川地区では、4軒に1軒の住宅が空き家となっています。
所有者や相続人が分からず、放置されたままの空き家も少なくありません。
所有者の親戚 近藤竜太郎さん
「貸したいけど貸せないというか、そうやっているうちに古くなってダメになる」
「屋根がつぶれているとか、そういうのがあります。多いです」
こちらの空き家のように、建物に問題が無く、所有者も判明しているケースは珍しいといいます。
竹内大さん
「ぱっと移住者が住める家っていうのはあまり多くない っていうのが現状みたいで、こういった家はすごくレアなケースなんだなというふうに思って、極力、早く誰かが住めるようにした方がいいんじゃないかというふうには思っています」
検討の結果、こことは別の空き家に住むことを決めました。
今後も空き家の実態を把握し、移住者の受け入れ体制の充実につなげたいと考えています。
竹内大さん
「販売サイトを作って、テスト販売みたいな感じで、実際に買ってもらって、どうだったかっていうのを調査したいなと思っている」
地域おこし協力隊に着任後、竹内さんは、三種町の農産物を首都圏に売り出すことを計画しています。
県立大学 泉牧子さん
「下岩川の人方の都会にいる親戚まで調べたんだもんね。そこの人をターゲットにしちゃって、あの人方に三種町のお米、屋農産物をいつ、どういうものができるというのも知らない人じゃなくて、ピンポイントに向かって発信する」
様々な機会を通じて、関係人口を増やしたい考えです。
竹内大さん
「外部から来た人でも、まず三種町に行ったらこんなことがしてみたいとか、こんなことができるっていうのが分かるような、見える化された町にしたいと思っています」
多くの若者が秋田を去る中、大阪からやってきて日々奮闘する竹内さん。
23歳の挑戦は、これからも続きます。
最終更新日:2025年3月24日 9:43