「リスク高かった」岩木山周辺で発生した“表層雪崩”とは?あす以降は「かなり高温」 りんご箱破壊するほどの屋根からの落雪にも注意を! 青森県弘前市でバックカントリーの2人けが
きのう午後岩木山周辺の山で雪崩が発生し、バックカントリースキーのガイドと客あわせて2人がけがをしました。
あす以降気温が上がるため、屋根からの落雪や雪崩の危険性が高まります。
★對馬敬 記者
「雪崩はこのリフトのさらに上のコース外で発生したということです」
雪崩はきのう午後0時半頃、青森スプリング・スキーリゾートのコースから山頂側に700メートルほど離れた弘前市百沢東岩木山の扇ノ金目山の東側の山中で発生しました。
バックカントリースキーをしていた外国人など13人のうち宮城県に住む日本人ガイド狩野慶さん36歳と、フランス人のフランク・シュロッサさん54歳が雪崩に巻き込まれけがをしました。
バックカントリースキーはスキー場のように圧雪された斜面ではなく、整備されていない自然の雪山を滑ります。
青森スプリング・スキーリゾートの安田総支配人によりますと、大自然を満喫できるため年々人気が上がっているということです。
★青森スプリング・スキーリゾート 安田智之総支配人
「自然の雪山は圧雪されていませんので深雪の中を滑るんですけれども、”浮遊感”を楽しむのを目的で皆さん手つかずの雪を探して自然の斜面を滑る」
その一方で、バックカントリースキーは雪崩などの危険と隣り合わせ。
きのうは新雪が一気に50センチ積もり、雪崩が発生するリスクが高かったと指摘しています。
★青森スプリング・スキーリゾート 安田智之総支配人
「きのう発生した雪崩は表層雪崩」
「積雪の層があって弱い層、雪が滑りやすくなる層の上に降雪があって、降った新雪が流れた そういう雪崩だったんですけど」
「皆さんが滑っていた斜面はちょうど35度から40度ぐらいの斜面で、降雪が前日から50センチ以上の降雪があったということでリスクは高かったと言えます」
当時なだれ注意報が出されており、安田総支配人はリスクが高い日には無理をしないでほしいとしています。
あす以降は気温が上がるため特に屋根からの落雪や雪崩に注意が必要になります。
あす土曜日には冬型の気圧配置がゆるみ、気温が平年よりもかなり高くなる見込みです。
また、日曜日は最高気温が8℃の所もあります。
雪が降ったところに気温があがると注意が必要なのが雪崩と落雪です。
まずはこちらをご覧下さい。
雪崩の瞬間の映像です。
雪崩は最大で時速200キロにもなります。
こちらは落雪の威力を検証した映像です。
落ちてきた雪でりんご箱が破壊されます。
まず雪崩を避けるには雪のひび割れや雪シワ、大きく庇のようになった雪だまりや、絶えず雪玉が転がっている場所に近づかないことが大切です。
見かけたら雪に衝撃を与えないようすぐにその場から離れて下さい。
落雪については水分を含んで重くなった雪が非常に危険です。
気温が高い日は雪が積もった軒下に近づかず、どうしても近づく必要がある場合は十分に注意しましょう。
表層雪崩とは古い積雪の上に新たに雪が降り積もった時に、新雪部分が滑り落ちる現象です。
国土交通省によりますと急な斜面は雪崩が発生しやすく、斜面勾配35度~45度が最も危険で発生事例が多いということです。
低木林や、まばらな植生の斜面では雪崩発生の危険が高くなり、笹や草に覆われた斜面は裸地よりも危険ということです。
表層雪崩は気温が低く、積雪深が大きく降雪の多いときや、すでにある積雪上に短期間で多量の降雪があった場合などに特に発生しやすくなるとされています。
青森地方気象台によりますと、青森県内では2021年に八甲田のスキー場コース外を滑っていたスノーボーダーが巻き込まれて1人が亡くなった雪崩や、2007年に八甲田の前嶽で発生し10人が死傷した雪崩などが表層雪崩だったということです。
気象台では今回の雪崩発生後に再び大雪となったため、今後もかなり注意が必要な状況としています。