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【独自解説】「違法」「不当」「極めて不適切」第三者委員会が兵庫県・斎藤知事らの対応を糾弾 “パワハラ”などが行われた背景、組織トップらへの“提言”も…調査報告書の内容を詳しく

2025年3月23日 4:00
【独自解説】「違法」「不当」「極めて不適切」第三者委員会が兵庫県・斎藤知事らの対応を糾弾 “パワハラ”などが行われた背景、組織トップらへの“提言”も…調査報告書の内容を詳しく
第三者委員会が報告書を公表

 兵庫県・斎藤元彦知事を巡る県の対応などについて、県と利害関係のない弁護士6人で構成された第三者委員会が、260ページにも及ぶ報告書をまとめました。その中でも特に注目されたのが、繰り返し出てきた『違法』という言葉です。県の対応は、どこが問題だったのか?今後の行方は?読売テレビ・上野巧郎記者の解説です。

■『外部公益通報に該当』第三者委が結論 対応について厳しく指摘「極めて不当」

 まず、『公益通報』についてです。先日公表された百条委員会では、「外部公益通報に当たる可能性が高い」との表現にとどめましたが、2025年3月19日の第三者委員会では、「外部公益通報に該当する」と結論付けられました。

 2024年3月21日、斉藤元彦知事が文書を入手した翌日には、片山安孝副知事(当時)らと協議した上で、文書作成者の調査が指示されました。その後、同年5月に元県民局長は“懲戒処分”となりましたが、『利害関係者が調査指示・処分に関与したこと』について、第三者委員会は「極めて不当」「県の対応は法律・指針の趣旨に反する」と指摘しました。

■同意得ずメール調査、パソコン引きあげ…通報者捜しは「違法」

 そして、『通報者捜し』についてです。同年3月22日・23日に、元県民局長の同意を得ずにメールを調査したことについて、斎藤知事は「名誉毀損などが含まれ、緊急性があった」としていましたが、第三者委員会は、メール調査・事情聴取は“やむを得ない場合”に該当せず「違法」としました。また、元県民局長にパソコンを提出させ、パソコンを引きあげたことについても、公用PCであっても正当化できず「違法」だったと指摘。

 第三者委員会は報告書の中で、「組織のトップと幹部は、自分とは違う見方もあり得ると、複眼的な思考を行う姿勢を持つべきだった」と“提言”しました。

■『うそ八百』『公務員失格』はパワハラに該当 第三者委の結論は「大変重い意味がある」

 次に、『斎藤知事の発言』についてです。同年3月27日、斉藤知事は会見の中で、元県民局長の告発文に対し厳しい言葉を投げました。この発言について、第三者委員会は「極めて不適切」とし、斎藤知事の「ありもしないこと」という発言は、『自分の言説を強調しようとしたもので撤回すべきだった』と指摘。また、「うそ八百」「公務員失格」という言葉については、『パワハラに該当する』としています。

 そして、『元県民局長への対応』についてです。3月の“退職留保”に関しては『不利益取り扱いに該当するが、人事発令は有効』としましたが、5月の“懲戒処分”は『違法・無効』としました。その理由は、「パワハラの多くは事実だったため告発文は有益で、懲戒処分の対象とすることは違法」だとしていて、「調査結果を待って処分すべきだった」と指摘しています。

Q.今回、第三者委員会は、百条委員会で出た結論からさらに一歩踏み込んでまとめたということになりますよね?
(読売テレビ・高橋克哉解説デスク)
「現職の知事の行為に対し、これだけ違法性を指摘する第三者委員会のコメントは、非常に珍しいのではないでしょうか。第三者委員会の位置付けは、非常に難しいと思います。日弁連のガイドライン指針に基づいて設立され、独立性・中立性を保ち独自に調査をした上での見解なので、百条委員会の見解と合わせて、あるいはそれ以上と言ってもいいかもしれませんが、これは大変重い意味があると思います」

■不当な対応が行われた背景と原因は?議会・知事・県民に今後与えられる選択肢

 今回の報告書では、『パワハラや不当な対応が行われた背景と原因』についても言及されています。まず、『職員とのコミュニケーション不足』です。知事が進める中心政策などを決める部署には、知事が選んだ職員ばかりで、他の職員は話を聞いてもらえないような状況でした。また、『知事を支えるメンバーが同質的で、異論などを受け入れない硬直的な姿勢』があり、さらに『知事や他主要メンバーは、他の意見をよく聴き、取り入れる姿勢が乏しかった』『ハラスメント防止規定などは定められていたが、十分には機能していなかった』としています。

 今回、第三者委員会が指摘したのは、こういった背景・原因が何に悪影響を及ぼすかというと、それは『県民』だということでした。

 今回の結果は、累計60人に延べ 90時間のヒアリングを行い公表されたということです。会見に応じた斎藤知事からは、「報告書の内容を精査したい。見解についてはこれまで通りだが、結果については重く受け止めている」との発言がありました。

 法治国家である日本で、法律の専門家が「違法だ」と指摘したことの重みを受け止め、斎藤知事がどう判断するのか。また、知事のみならず議会・県民も行動を起こすことができるため、今後、兵庫県議会、そして兵庫県がどうなっていくのか、事態を見守りたいと思います。(読売テレビ・上野巧郎記者)

(「かんさい情報ネットten.」2025年3月19日放送)

最終更新日:2025年3月24日 2:21
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