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対立激化…トランプ氏を猛追するデサンティス知事の勢いは本物か?現地取材で考えた

2023年3月12日 3:56

■それでもなお強い「様子見」の雰囲気 トランプ氏は攻撃強める

一見すると、勢いに乗っているようにも見えるデサンティス氏。しかし、共和党の予備選を想定した米メディアなどの世論調査では、トランプ氏が依然として大きくリードしている。例えば2月後半のFOXニュースの調査では、トランプ氏43%、デサンティス氏28%。2月以降、トランプ氏がデサンティス氏との差を広げる調査も出てきている。有力政治サイト「アクシオス」は、トランプ氏がオハイオ州の列車脱線事故現場を視察したことや、直近に訪問した州で、小規模な地元の飲食店をサプライズ訪問するなど、今までにない動きを見せたことがプラスに働いたのではないかと分析している。

また今回、2人の集会から見えたのは、トランプ氏の牙城を崩すことの難しさだ。CPACはトランプ氏が支持を広げられず、党全体を掌握できていない現状をあらわにしたが、同時に岩盤支持層の変わらぬ強い結束も示した。さらに、デサンティス氏の講演に参加した共和党支持者からも「まだトランプのことも支持している。デサンティスに十分な力があるかどうか、見極めないといけない」「トランプは多くのことを成し遂げたけど、デサンティスはまだフロリダだけだ」などと、様子見の姿勢を示す声が目立ったのが印象的だった。トランプ氏の元側近バノン氏は私に「デサンティスは良い男だが、外交経験もないだろう。いまは”戦時”なんだ」と指摘したが、出馬前で政策の全容が見えない点も、見極めが難しい理由のひとつだ。

こうした中、トランプ氏は最近、自身のSNSで「彼が知事になる前からフロリダの業績は良かった」などとデサンティス氏を盛んに攻撃している。また、年明け以降の集会ではほぼ毎回、デサンティス氏の看板政策である「教育」に言及。「親の権利のために戦う」「子どもたちに我々の歴史と伝統を教え、自分たちの国に再び誇りを持てるようにする」などと、デサンティス氏と同じような路線の主張を行い、争点の打ち消しを図っている。

フロリダ州議会の会期が終わる5月以降に、出馬表明を検討しているとされるデサンティス氏。それまで最短でもあと3か月。トランプ氏の攻撃をしのぎ、予備選でトランプ支持層を引きはがすことができるのか、真価が問われるのはこれからだ。

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